VideoNews「日本の右翼はどこへ行ったのか」鈴木×萱野×宮台(視聴メモ)
【動画概要・抜粋】
- 自分の鬱屈が晴らされれば、社会の事などどうでもいい、というやつが多い。承認欲求や溜飲欲求のために、公共的なことを話題にしている場合が多い。
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宮台「右には右を、左には左を。右に対して左がカウンターデモをしても、義を巡る争いにならないから。」萱野「ヤンキーに説教が通じるのは、ヤンキーが尊敬できる人間だけ。同じように、ヘイトスピーカーに説教が通じるのは、ヘイトスピーカーが尊敬できる人だけ。それは誰か。」
<慰安婦問題>
- 従軍慰安所は、ナポレオン戦争の反省から。補給がないと、軍隊は何でも現地調達する山賊になり、現地人を強姦するようになる。そこで、軍として従軍慰安所を作って、管理売春を行った(性病予防、暴力予防、女性の自由意思の尊重の為)。
- この制度に反対したのが、宗教的原理主義のアメリカで、しかし軍隊の周りに業者を集めた。
- 日本の従軍慰安婦問題に対するヨーロッパの見方は、そこに女性の自由意思の尊重があったかどうか。募集主体・管理主体が政府か民間かは関心がない。自由意思がなかったら,性奴隷と見なす。
- このような、対外的な見え方まで考慮しての橋本発言なのか。自分は正しい、の一点張りでは政治にならない。
<ヴァイツゼッカー大統領の演説>
① 戦争責任は個人によって違う。軍人、民間人、年齢。つまり、若い奴には責任は無い。
② しかしドイツ国民であるかぎり、ドイツのイメージを回復しないと、ヨーロッパの中で立つ瀬がない。ドイツという共通の船に乗っている以上、二度とナチズムに陥らない行動をとる責任がある。
【視聴動画】
この動画、ぜひyoutubeやニコ動で無料放送してくれないですかね、→宮台さん、神保さん。今とは別のナショナリズムを立ち上げるために必要な認識ではないか。ネトウヨさん達もたくさん見るだろうし。
三多とは、「石と風と女の3つが多い」という意味。火山島であるため、火山の噴火により流出した火山岩が多く、台風が度々通過する上、季節風の吹く地域であり、またかつては漁労のため海に出て遭難するなど男性の死亡率が高かったことに由来している。
VideoNews「日本はどこに向かっているのか」鈴木×萱野×神保×宮台(視聴メモ)
【動画概要】
政治権力の源泉は利益分配で、投票者に利益が分配される。その財源(打ち出の小槌)=民主の埋蔵金、自民の日銀。しかしパイはもう増えないので、今後は不利益分配の政治を考えなくてはならない。
【視聴動画】
http://hlsp01.videonews.com/flash/?U2FsdGVkX18sgJf4VoL3bb4pG%2BmVAaBPfXv0D5GCXjE%3D
http://www.videonews.com/charged/news-commentary/0001_3/002878.php
【選挙結果】
2013.7.の参院選。議席は圧倒的に自公が勝ったが、得票率は、そうでもない。野党が小さく割れて、死に票が多かった。
萱野:共産党と自民党、古い政党が残った。この20年に生まれた政党が、全部消えつつある。政治再編を主導した小沢さんの生活が0だった。非常に象徴的。
【民主党】
宮台:2009年の「鳩山パッケージ」=「対米自立、そのための重武装化、そのための憲法改正、そのためのアジア信頼醸成」。これが、頓挫した。
【アメリカ】
宮台:アメリカは、二度と、鳩山のような戦前右翼的な動きを認めたくないだろう。日本の対米従属を進めるために、TPP。だから、今回の選挙で勝利したのは、アメリカだった。
【小沢一郎】
神保:民主党のアキレス腱、小沢の金権体質。 検察が、どうでもいい小さな件で秘書を挙げた。検察審査会も、訳が分からない内容。国策捜査。小沢をどうするか、で民主がガタガタになった。あのいいかげんな国策捜査を、問題にしないこの国は、大丈夫か?
萱野:別の見方をしている。小沢を脅威に感じた勢力が、小沢を挙げた。そして代表から降りて鳩山に変わったら、逆に議席が伸びた。そこを活かしきれなかったのが、民主の失点。
最大の問題は埋蔵金が出てこなかったこと。外交で失敗したこともあるが。今回の選挙でもそうだが、多くの人は、政府に無い袖を振ってほしい。お金がじゃんじゃん出てくるのを期待している。今回の自民党は、日銀だ、という。
お金があれば人は集まり、なければ人は離れていく。票も同じ。財源が無いので口論になって、民主は分裂した。財源がなくてもどうするか、というラディカルな覚悟があって政権を取ったのであれば、よかったが。
宮台:埋蔵金が出なかったので、財務官僚の力を借りて事業仕分けをすることになった。官僚と民主党の力関係が変わった。行政官僚とガチンコで喧嘩する発想は、幼稚。今回の自民がやったように、政権交代の前から官庁の中にシンパを作っておいて、政権交代と同時に一気にポストを入れ換える。
小沢は献金疑惑で下されて、党務に専念していたので、人脈が使えなかった。このように、民主党の使えるリソースがきわめて少なかった。
【リベラル】
神保:センターレフトのような人々は、どこに投票すればよいのか。民主党は受け皿にならなかった。ファーレフトの社民・共産。共産は少し伸ばしてるが。
【逃げ切り世代】
宮台:50代、60代は、退職金・年金をもらって隠居するためには自民党に入れるしかない。褒められた態度ではないが、合理的ではある。この国という船が沈む前に死ぬでしょう。
【保守化?する若者】
宮台:問題は自民に投票する若い世代。危機感がない。沈みつつある船、という認識がない。
鈴木:自民が投票権を18歳以上とし、ネット投票も狙っているのは、自民の票が増えると踏んでいるから。18-19歳が、何か考えて投票権を要求しているからではない。婦人参政権が実現した時に、こういった人がいる。「これで自分とこの票が増える。奥さんは、旦那の言う党に入れるから。」こんな風に舐められていていいのか!と。
宮台:保守の意気があればいいのだが、自明性の域から出れていない。社会的人脈があれば、介護の現場、生活保護の現場が回っていない、ということが分かるはずだが、そんなネットワークを持っている者はいないので、危機意識がない。
萱野:パイが縮小している、という意識は、それなりにあると思う。しかし、そのパイをどう維持・分配するか、という意識ではなくて、そこにどうしがみつくか、こぼれおちたくない、という方向に意識が進んでいる。防衛的になって、他者への攻撃に結びつく。
学生に「なぜ投票に行かないの?」と聞くと、「私が行っても変わらないから」と強弁する子もいるが、本音は、「投票・政策・国会が良く分からない」から。国会でパイを分配している、投票しない奴には分配されない、という政治力学を分かっていない。
その上で、パイにはしがみつきたいから、変な寄生虫(パラサイト)は排除したいから、排外主義や生活保護批判、保守化になっている。
jizaki:日本の公民科教育の問題でもある。
【権力の源泉】
萱野:今の民主主義社会における政治家の権力の源泉は、ものをあげること、分配すること。民主党はコンクリートから人へ、というスローガンで当選し、公共事業から福祉へと、分配先を変えた。しかし、分配していることには変わりない。
パイが縮小する中で、自民党は、日銀という打ち出の小づちを編み出し、パイを大きくして多くの人に分配するよ、というスローガンで勝った。
今後、社会システムを維持するために、利益ではなく不利益の分配をせざるを得ない。増税か、給付削減を、どう分配するか。不利益の分配は、近代民主主義の歴史の中で、一度もやったことがない。
宮台:不利益分配を受忍するための感情的ベースを醸成するために、地方分権してスモールユニットにするしかない。スモールユニットなら、なんであいつらの為に、という感情が、受忍しうる。
【原発】
萱野:原発に対する選挙民の意識は、短期と長期で考え分ける。原発止める、という世論調査が出ているが、これは長期。自民が勝ったのは、景気という短期。
【改憲】
次の国政選挙が3年後で、改憲は3年ではできない。3年、政権を安定させて、次の選挙に勝ちたい、そして改憲したい、という安倍さんの個人的願望。そのために、社会保障の不利益分配や財政の健全化を骨抜きにする可能性が大きい。
今回の自公の得票率が51%で、これでは国民投票で会見を覆される可能性がある。そうすると政権が吹っ飛ぶ。国民の大多数の支持を取り付けなければならない。
憲法改正の前の、安定政権。安定政権のための、ばらまき。このばらまきが、沈みかけている船を徹底的に再起不能にする。
利益分配の政治をする限り、日本の再生は無い。
神保:今回の自民の得票は、殆ど組織票。その組織票は、既得権益にぶら下がったもの。既得権益の水脈に沿って利益分配が為される。
おわり
VideoNews「3・11後の世界の共感を台無しにした日本のヘイトスピーチ」神保×宮台(視聴メモ)
【動画概要】
VideoNewsに会員登録していない人でも、youtubeでタダで見れる。宮台「2ch系ウヨブタは、右翼の名に値しない。安藤美妃問題と同じで、公共空間が存在しない。 公共空間は、自分とは出自も文化も、価値観や道徳観や性愛観も違う人間と、共存していくための知恵。日本には公共空間に関する歴史的伝統がない。」
【視聴動画】
http://www.videonews.com/charged/news-commentary/0001_3/002860.php
http://www.youtube.com/watch?v=WDHuuoQcOzc&feature=youtu.be
cf.↓中二のヘイトスピーチ(心臓の弱い人は閲覧注意)
http://www.youtube.com/watch?v=YqzwtGj1XuU
外国特派員協会で、在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチについて、鈴木邦夫と有田芳生が講演した。外国人記者は、この問題の実相を知らなくて、ショックを受けていた。
外国記者「今年の2月に、鶴橋で中二の少女がマイクで「在日朝鮮人は半島へ帰れ、鶴橋大虐殺を起こすぞ」という内容の演説をした様子が、youtubeで字幕付きで流れた。世界から日本への3.11.後の共感・同情が失われ、「日本は一体どうしてしまったのか」という印象を受けている。」
鈴木「その動画を知らなかった。日本人でも、その動画を検索してまで見る<熱心>な人は、ごく少数だ。しかし、それがネットで世界中に流れて、世界が日本を見る目に影響を与えているので、看過できない。日本のマスコミでは、そのような情報を報道しないが、ぜひ報道して、こんな発言は許されるのか、議論したほうがいい」
宮台「2chなどにたむろするネトウヨの実像は明らかになっていて、国民的な広がりを持たない。在特会の問題に無関心だからではなく、ニュースバリューがないから、マスコミは報道しないし、報道されても視聴者は関心を寄せない。」
神保「しかし。ネット上で吹き上がっているような話ならば、放っておいてもいいかもしれないが、今回は、街頭でマイクでヘイトスピーチをしている。それを放置している周りも含めて、動画で世界に流れている。放っておいていいのか。
その時に、公権力による規制を呼び込むと、表現の自由に抵触する可能性がある。市民的なレベルで、ブレーキがかかればいいんだけど、それも無関心、という現状では。」
宮台「2ch系ウヨブタは、右翼の名に値しない。鬱屈した不安な存在が、承認や溜飲下げを求めて吹き上がっているだけだ。多くの人が、そのような把握をしてきた。だから、ニュースバリューがない。しかし、外国人特派員から見れば、その国民的な深度が分からないから、外国人記者は受け取り方を迷っている。一番簡単なのは、法律で規制することだが、その法律が、別の表現に対して利用される危険性がある。では、法的に規制しないのであれば、マスコミや国会が、キャンペーンを張る必要がある。」
宮台「2ch系ネトブタと、在特会は、系譜が違う。ネトブタは、北田暁大が分析しているように、つながりやお祭りのためのネタとして、差別を使っている。在特会は、チーム関西が「特権叩き」で浮上してきた。公園を幼稚園の園庭として使用してきたことに対する抗議から始まっている。大阪の維新の会も、特権叩きから浮上してきた。被差別部落の特権や、公務員の特権を叩くパフォーマンスで、票を得てきた。
宮台「関西で育ったので、特権叩きは当然だ、と思う面と、しかし微妙だ、と思う面がある。映画パッチギ的世界を地で生きてきた。長じるにつれ、飲み仲間に朝鮮人や部落民が混交してきて、旧住民的な包摂によって、町の成り立ちを腹に収めて育ってきた。現在ではアファーマティブアクションが不要になっている状況で、京都市や大阪市のバス運転手の給料の高さは、確かに叩かれる弱みを持っている。」
宮台「そして、地域の共同性が空洞化し、新住民が移り住んできて、自宅に引きこもって隣近所と付き合わないような生活スタイルが広がると、経緯を知らないアファーマティブアクションは、新住民にとっては逆差別に見えてくる。
だから、在特会問題は新住民問題である。1980’sから表れてきた新住民問題の、一端。東京の在特会は、2ch系のネトブタが多い。共同体の空洞化によって鬱屈した不安な存在が、溜飲を下げたいがために繋がりを求めるのは、先進国どこでも報告されている。」
宮台「リアルの社会では、個人的で親密なつながりを持てない孤独な存在が、ネットを通じて繋がっている。性的マイノリティーなどが、そうしてつながるのはいいことだが、ヘイトスピーカー同士がつながって「自分はひとりじゃないお」などと思って差別をまき散らしている状況。」
神保「西洋の記者たちは、エドモンド・バークが言ったように、「悪が勝つためには、善が何もしなければいい」 と考えている。つまり、ヘイトスピーチを放置しているのは、それを認めて賛同しているのと同じことだ、と。アメリカではアファーマティブアクションによって、黒人女性であれば、かなり低い成績でもいい大学に入れてしまう。それをアンフェアだという人もいるが、在特会のようなヘイトスピーチをしたら、市民もメディアも黙ってはいない。この点は、どうなのか。」
宮台「安藤美妃問題と同じで、公共空間が存在しない。 公共空間は、自分とは出自も文化も、価値観や道徳観や性愛観も違う人間と、共存していくための知恵。日本には公共空間に関する歴史的伝統もないし。日本文化には、仲間(身内)とそれ以外、そして資本化して以降はお客さん、という分類しかない。共同体が空洞化すると、「ごく少数の友達以外はみな風景」という状況になり、「旅の恥はかき捨て」における旅の時間が長くなって、他者に対してとてもbrutalな振る舞いをしてしまう。身内と身内以外に対する二重規範が、近代以前の共同体の在り方。これは、近代社会とコンパチブルではない。」
神保「右翼はどこに行ったのか?」
鈴木「左翼の退潮と共に、右翼も細々しくなった。」
宮台「鈴木氏の一水会は新右翼と言っているが、真右翼と言うべきで、戦前の民権派などに繋がるルーツがある。国家に依存していない。 反国家・反政府・そして天皇主義である。反国家・反政府でありながら天皇主義であることが奇異に思えるかもしれないが、これは南北朝時代の南朝と思えばよい。国家や政府に抗う中で、天皇を押し立てて、義は我にあり、としている。そして民族派右翼はまた、国際派でもある。日本のパトリとして立つためには、イラクや朝鮮の「民族性」を尊重する。だから、排外主義や国家主義とも対立する。国際的にも、右翼の本流はこちら。」
外国人記者「自民党憲法草案に天皇を国家元首とする、とあるが、どう思うか。」
鈴木「反対する。天皇は政治に関わらず、文化に関わることが、日本の歴史にも適っている。」
宮台「ラストサムライと同じ問題で、西郷隆盛の南洲翁の問題でもある。天皇を押し立てて、正統性なり反逆を企てるときに、それが本当に人々の益になっているのか、実は私利私欲ではないのか。三島由紀夫が全共闘に「天皇陛下万歳と言ってくれ」と言ったのも、半分はネタだが、半分は、心の底から湧きあがってくるようなパトリを確認したかった。三島は、天皇を崇敬することを教育で強制することを嫌った。それは、天皇陛下万歳と言って教師におべっかを使ったり、社会的競争で上に立とうとする道具にされてしまうから。だから再び、天皇を政治利用しないで、かつ天皇に絶対的に帰依せよ、という主張になる。」
宮台「いま、八重の桜をしているが、福島の会津地方は奇妙だ。誰も嫌がっている火中の栗、京都守護職を買って出ている。薩長から賊軍扱いされたが、会津は自分たちが日の丸の中心にいると思っている。このような愛国=パトリの姿は、日本以外の国でも、標準的である。トルコにおけるクルド人エリート、アメリカにおけるさまざまな民族的出自。このような二重性を生きることの、愛国への緊張関係が、重要。」
おわり