jizakiの備忘録

動画や本などのメモ、etc

VideoNews「日本の右翼はどこへ行ったのか」鈴木×萱野×宮台(視聴メモ)

【動画概要・抜粋】

  • 自分の鬱屈が晴らされれば、社会の事などどうでもいい、というやつが多い。承認欲求や溜飲欲求のために、公共的なことを話題にしている場合が多い。
  • 宮台「右には右を、左には左を。右に対して左がカウンターデモをしても、義を巡る争いにならないから。」
    萱野「ヤンキーに説教が通じるのは、ヤンキーが尊敬できる人間だけ。同じように、ヘイトスピーカーに説教が通じるのは、ヘイトスピーカーが尊敬できる人だけ。それは誰か。」 

慰安婦問題>

  • 従軍慰安所は、ナポレオン戦争の反省から。補給がないと、軍隊は何でも現地調達する山賊になり、現地人を強姦するようになる。そこで、軍として従軍慰安所を作って、管理売春を行った(性病予防、暴力予防、女性の自由意思の尊重の為)。
  • この制度に反対したのが、宗教的原理主義のアメリカで、しかし軍隊の周りに業者を集めた。
  • 日本の従軍慰安婦問題に対するヨーロッパの見方は、そこに女性の自由意思の尊重があったかどうか。募集主体・管理主体が政府か民間かは関心がない。自由意思がなかったら,性奴隷と見なす。
  • このような、対外的な見え方まで考慮しての橋本発言なのか。自分は正しい、の一点張りでは政治にならない。

ヴァイツゼッカー大統領の演説>

① 戦争責任は個人によって違う。軍人、民間人、年齢。つまり、若い奴には責任は無い。

② しかしドイツ国民であるかぎり、ドイツのイメージを回復しないと、ヨーロッパの中で立つ瀬がない。ドイツという共通の船に乗っている以上、二度とナチズムに陥らない行動をとる責任がある。

 

【視聴動画】

マル激トーク・オン・ディマンド 第641回(2013年07月27日)
「日本の右翼はどこへ行ったのか」

ゲスト:鈴木邦男氏(一水会顧問)
 

この動画、ぜひyoutubeやニコ動で無料放送してくれないですかね、→宮台さん、神保さん。今とは別のナショナリズムを立ち上げるために必要な認識ではないか。ネトウヨさん達もたくさん見るだろうし。

 
【萱野稔人】
萱野さん久しぶりのVideoNews登場。
「かやのチャンネル http://ch.nicovideo.jp/kayano 」でgdgd話している人とは別人に見えるが、どっちも好き。
 
【選挙】
参院選の結果、自民大勝。アメリカは必ずしも歓迎していない。景気が良いから風が吹いているだけ、という判断。安倍のトラックレコード見て、これはダメだわ、と思ってる。
 
【海外の反応】
海外では日本の右傾化が、盛んに議論されている。ネオナチやルペンと同様に、分解する中間階級の不安を背景に出てきている。
このま行けば、東アジアの情勢が相当不安定化するのではないか、と危惧している海外のウォッチャーは多い。
 
尖閣
尖閣問題で、対外的な緊張が高まると、日本の対米従属は深まる。これまでのパターンどおり。そしてTPPや、原発推進の方向へ。尖閣のお蔭で、アメリカは日本を操作しやすくなっている。
 
【憲法草案】
幼稚園児か小学生の書いたような自民の草案を見て、アメリカは完全に、「大人として、指導を入れた方がいい」と思っている。憲法の文法を完全に無視した書き方になっている。主語はどんどん入れ替わり、国民なのか民衆なのか国なのか、良く分からない。
 
【教養】
阿部は「憲法は王権の時代に生まれた」と言っているが、王権の時代に憲法などない。王権を倒した市民が、統治権力の暴走を防ぐために立てたのが憲法。本来の右翼や保守が備えるべき基礎教養もない。
 
【新住民問題】
在日特権叩きの在特会チーム関西、組合同和利権叩きの橋本、風営法の営業時間問題、クレイジー・クレイマー、モンスターペアレント、何かというと警察を呼びたがる奴。みな、新住民問題。
 
【特権】
在日特権と言うが、一番特権を持っているのは日本人。こんないい国に偶然生まれて。申し訳ないと思わないのか。新井将敬に、「鈴木さん、あんた日本人になろうとしたことないだろ、」と言われて恥ずかしかった。
 
【阿部∽ネトウヨ
小学校時代につらい経験をしているらしい。マシュマロのような温和な性格だが、激高して机を叩きつけることもあり、かと思うと家で2chを見て元気が出たり、自分のfacebookに人の悪口を書いたり(外交官の田中均や、TPPに反対する人たちを左翼だと誤認したり)。ネトウヨと親和性があるキャラクター。実存的には可愛いかもしれないが、国の代表としては、立派とは言いにくい。
ポンポン痛くて首相を突然辞めて、ネット世論を見て突然やる気が出た。ネット世論と言っても、要するに,2chとニコ動とチャンネル桜。伝統的な保守の枠組みでは理解できないキャラクター。右翼でも保守でもないとすれば、なんなのか。
国際的な常識で言えば、ネットは感情のゴミ箱。だから、政治家はネット言論を真に受けてはいけない。ネットの中にも、VideoNewsのような宝石もあるがww
 
ネトウヨは右翼ではない】
右翼は排外主義ではないし、ヘイトスピーチなどしない。右翼には在日もいる。孫文の愛国的な言動に意気を感じて応援した。右翼国粋主義ではなく、右翼国際主義。
 
【学生時代】
戦間期に弾圧された大本教にルーツを持つ生長の家という宗教を、鈴木の母親がやっていた。大本教は、別の天皇を立てる可能性もあった、ラディカルな宗教。早稲田で全共闘に反発してから右翼。当時は右派的な宗教団体であった生長の家のフロントとして活動。左翼運動はソ連のリモートコントロールだ、として、とにかく反共。民生の宮崎学と対峙していた。
 
【日本人】
91年に共産圏が崩壊して冷戦が終結。この時、右翼の存在が問い直されるべきだった。当時、まだ冴えていた田原総一郎が朝生で「たとえばイラン人が、天皇に帰依して、日本の風習になじんだとしよう。日本人として認めるか?」と聞いたところ、並み居る右翼はシーン、となっちゃった。
萱野「今、同じことを聞かれて、鈴木さんは?」
鈴木「認めますよ。だって、僕らのルーツだって分からないじゃないですか。」
萱野「じゃあ、右翼を規定するのは「人種」じゃなくて、何なんですか?」
鈴木「日本に住んで、日本的なものを持っていればいい。日本が好きで日本に住んでいるのなら、日本人と同じだ。」
 
【心情】
三島由紀夫の自殺、反日武装戦線の爆破、これらは左右の先端が心情的に呼応している。そのような心情が感染する土台、を護持したいのが右翼。主意主義。
右翼は在特会のような弱い者いじめや、卑怯なことはしない。COVEを上映する映画館主の家に行って、おばあさんを糾弾してその様子をネットに流すとか。
関東大震災の後の、朝鮮人虐殺を調べたのは、右翼の黒龍会で、恥ずかしいことをするな、と。した奴がいたら、尻を拭うことまでする。国辱。
 
【保守】
何かを保守する、という言葉だが、良いものを守るのはいいが、現状をすべて変えない。愛国には現状をそのまま、ということが往々にしてある。右翼は、それではだめだと考える。憂国の側面があり、反日と呼応する側面がある。
エドマンド・バークマンハイムのような保守思想は、フランス革命に対する反省から出てきた。人間の理性は有限であり、社会の複雑性は無限であるから、主知主義中二病的な合理主義は、破たんして社会が回らなくなる。社会が現にまわっていることを尊重せよ、という思想。近代合理思想から見ても、合理的であって、主意主義まではいかない。反主知主義主知主義
 
【革命のシンボル、天皇】
現状肯定しかしない保守には、天皇制を理解できない。天皇は、歴史的に、革命勢力が自らの正統性を示すために、自らの内発性を惹起するために押し立ててきた。ここまではみ出すのが右翼。天皇は常に、革命勢力を鼓舞してきた。世界的に、革命のシンボルになっている王権は、ほかに存在しない。ゲバラのような革命家はいるが。
 
【立派】
鈴木「政治家も言論人も、立派かどうかは分からない。言ってることしか知らないから。」
宮台「鈴木は全ての著書に、住所と電話番号を載せている。今、真似できるやつはそういない。」
萱野「左翼が情けなくて愛想が尽きたのは、言ってることとやってることが違う。反権力、などの綺麗ごとを言うが、自分たちの組織の中ではドロドロやっている。認めてしまえばいいのに、人間ってそんなもんだ、と。尊敬できない。」
 
愛国者
へたれは、国内で吹き上がってる。中韓きらいだなんだのと。真の愛国者は、出ていく。拉致問題等で交渉する。一回目の交渉で成果が出るわけない。それで帰ってきたら売国奴などと呼ばれる。それでも突き動かされる内発性があって仕事を継続するのが、真の愛国者
 
【感情と内発性】 
ソクラテスは4回戦争に行って、尊敬された。これは、戦場では喜怒哀楽を超えたものが動いているから。ソクラテスが喜怒哀楽の感情を乗り越えたものだから。 
アウシュビッツの後で詩(リリック)を書くことは可能か、ギミックだ。詩は喜怒哀楽を表現し享受する贅沢品だ。戦争ではそんなもの吹っ飛んでしまう。だからアドルノは大衆芸術的なものを嫌悪した。
この感覚はアレントにも受け継がれ、喜怒哀楽の感情を超えた内発性が発見される。内発性や徳が強ければ、喜怒哀楽は犠牲にできる。
 
【義】
鈴木は内発性や徳を、義として理解する。 
しかし最近は、義に基づいて行動することは薄くなっているかも。というのも、左翼と同じで、右翼にも「義の為に」とか言いながら、ちと汚いなあ、と思わざるを得ない言動があるから。
平時の生活は保守的に過ごす人間が多い。生活とはそういうものだから。しかし、普段仲良くていい奴だと思ってた奴が、非常時に我先に逃げたり裏切ったりすることもあれば、嫌な奴だと思ってた奴が義の為に身を捨てて助けてくれたりもする。そういう時に、何かが見える。 平時の時には、名乗りを上げるチャンスはあまりない。
 
【暴力】
1932血盟団事件、1932五・一五事件、1933神兵隊事件、1936二・二六事件
本人に話を聞いたが、暴力が好きなわけではない。戦前は、言論の自由がなかったから、法を破ってやるしかなかった、と。
一人一殺、一殺多生。仏教用語。政治には、そのような冷酷な側面がある。
天誅、天に変わってと言うが、天に変われるだけの人間はいるのか。しかし、言論の自由がなかった戦前の青年が、そうなった心情は分かる。
 
【岩倉使節団】
岩倉具視伊藤博文が欧州視察をして、国づくりをする際に、田吾作(民衆)が田吾作(岩倉や伊藤)の言うことを聞くとは思えなかったので、天皇を持ち出した。天皇主義者ではない人間が、天皇主義を強制した。
西郷隆盛は気づいていた。国民のために天皇を使って国民を統合している。しかし、本当に国民のためなのか?と。欧化による私服肥しの為に天皇の権威を簒奪しているだけではないのか。映画ラストサムライで扱われている。
 
【熟議】
公共的なことを話題にしているからと言って、真に受けてはいけない。承認欲求や溜飲欲求のために、仲間内での発言力を強めたり動員を当て込んで言っているだけの場合が多いから。 それを見極めるには、時間がかかるから、熟議=デリバレーションが必要。
自分の鬱屈が晴らされれば、社会の事などどうでもいい、というやつが多い。実は孤独問題だという、リューシキンによるアメリカ社会の分析が、日本にも当てはまる。
 
【 ジハード】
自爆テロには共感する。しかし例えば支援してくれと言われたら、慎重にならざるを得ない。言われることは無いと思うが。お互いの国の事はお互いでやっていくのが民族派右翼だから。
 
【二重帰属】
宮台が福島に十数年前に行った時に、教育委員会の皆が日の丸に敬礼しているから、嫌な気分になって聞いた。あれは薩摩藩旗だぞ、と。するとみんな体が固まってたんだけど、ある人が 言った「会津は常に、京都守護職を引き受けた時も、日本の中心を担おうとしてきた。しかしそれでも周辺化される、賊軍扱いされるんだ」と。
日系アメリカ人が、戦争で最も戦績がいいのと似て、二重帰属が、その人たちを戦略的にさせ、全体を考えてその中で全体の為に義を尽くそうとする。
日清日露戦争までは、捕虜に自由に外出させていた。野蛮国だと思われないように。その背伸びは、いいことだと思う。 
そして、日清日露戦争までは、武士道が残っていた。どこどこ藩の侍だ、という意識。藩への帰属意識があるから、卑怯な、見苦しい真似はしない。
クルド人エリートが、トルコに尽くすのは、クルドにリターンをもたらすこと、クルドの誉れを高めること、が動機となっている。
アメリカでも、移民が出自(アイデンティティ)の誉れを上げるために競って愛国に走っている時期がある。
 
【愛国と売国
戦略なき愛国が、最も売国だったりする。単なる心情の吐露が、売国行為になる。
慰安婦は他の国にもいたじゃないか、慰安婦の存在自体は、どこにでもあったという意見は、もっともだと思う。一定の正統性がある。ただ、強制連行の有無が疑われている状況で、今の国際環境で日本の政治家がそれを言うことはどうなのか。
問題は強制連行があったかどうか、ではなく、強制連行があったかどうかに拘って、いつまでも問題解決の姿勢を見せなかったことが、問題。
アメリカで慰安婦の石像が作られたときに、日本の政治家が止めに行って、ニューズウィークにすっぱ抜かれて、アメリカで慰安婦問題が知れ渡って、日本の評判が悪くなっている。
 
従軍慰安婦制度】
ナポレオン戦争に対する反省から始まっている。軍隊は、ロジスティックをしっかりしていないと、食糧でも性欲でも何でも現地調達する山賊になってしまう。現地の女性を強姦するようになる。そこで、国家が従軍慰安所を作った。そこでは、性病予防、暴力予防、女性の自由意思の尊重の為に、管理売春を行った。
この制度に反対したのが、アメリカ。アメリカは宗教的原理主義の国だから、売春に軍・国家が関与することを認めなかった。軍隊・基地の周りに、業者を集めた。これは、沖縄でもそう。沖縄の民生局は、慰安所を基地の中に作ってくれと言っていた。基地周辺で毎日レイプが多発するから。米軍は作らなかったので、民生局が作って、兵隊にここを利用するよう言ってくれ、ということになった。後のコザ市のビジネスセンターストリート。
病気の管理は、米軍はびた一文出さないから、全て琉球政府が出した。暴力の管理も、米軍は何もしないから、多くの女性が殺されている。この時、道徳的に正しいのは、米軍と琉球政府どちらなのか。
日本の従軍慰安婦問題に対するヨーロッパの見方は、そこに女性の自由意思の尊重があったかどうか。募集主体・管理主体が政府であろうが民間であろうが関係ない。自由意思が尊重されていなかったら,政府であろうが民間であろうがSEX SLAVE性奴隷と見なす。
確かに、中曽根康弘が言うように、自由意思で働けた慰安所もあったであろう。しかし、そうでない場所が多々あった。それが当人たちから訴えられている。
橋本大阪市長が言うように、確かに慰安諸制度はどこにでもあった。しかし、ヨーロッパ、アメリカ、日本で、慰安所の制度は違ったし、大事に思っているポイントが違う。そのような、対外的な見え方まで考慮しての橋本発言なのか。相手が何を問題にしているのか、配慮がない。自分は正しい、の一点張りで、政治になってない。他の国も全部、慰安婦制度について反省するなら、謝ってやらあ、では、子供の喧嘩。万引きやスピード違反で捕まった人間の言い訳。他の奴もやってるだろうが。
植民地への支援は、日本はかなり手厚くやった。だから戦後、アジアはアフリカのようにはならなかったし、現在の高度成長がある。その辺の違いがあまり国際的にも国内的にも理解されないまま外交が展開している。
 
ヴァイツゼッカー大統領の演説】
① 戦争責任は個人によって違う。軍事だったか、どういう役職の公務員だったか、民間人だったか、軍属だったか、年齢だったか。つまり、若い奴には責任は無い。
② しかし、ドイツ国民であるかぎり、ドイツのイメージを回復しないと、ヨーロッパの中で立つ瀬がない。ドイツという共通の船に乗っている以上、未来に向けた行動、二度とナチズムに陥らない行動をとるべきだし、責任がある。
これは、物凄く戦略的な物言いだ。ドイツの東西統一からeuでの主導的な地位を得るまでの道程を、逆算して演説している。
ドイツ人のインテリは、そのことをよく理解した。個人補償制度に対する内心の思いは別として、戦略的にこれしかない、と思った。なぜ、これが日本で出来ないのか。日本は戦略を間違った。現在の日本でヘイトスピーチを考えるうえでも、重要な戦略。
 
【没落中間層】
仕事が中韓に流れて日本の中間層が分解して自分が没落する不安・恐怖と、戦後補償を未だに求める中韓が、自分たちの既得権益を奪う存在としてダブって見える。そこで、過剰防衛から転じた攻撃性が、排外主義になっている。萱野が不満に感じるのは、そういう若者に対して、大人が、ヘイトスピーチはダメでしょ、という対応しか出来ていないこと。
生活保護バッシングと同じ。我々の縮小しつつある貴重なパイを、寄生虫(似非生活保護申請、中韓)に奪われたくない。保険料や税金を納めているのに、あいつらはなんだ、と。それを上から説教しても、効かない。
 
【本土の没落しつつある若者の孤独】 
沖縄の軍用地借用料は、凄い金額で、地主老人に富が集中している。そういう意味では格差があるはずだが、伝統的に血縁社会で、食えない親戚を助ける社会。宮台がコザ市のちびっこギャングを取材したときに、昼間っからなんで遊んでられるのか?と聞くと婆ちゃんが金くれるから、という。年寄りに金が集中しているが、血縁者がぶら下がれている。フランスの好きな包摂の原理が、働いている。
翻って、なぜ本土で若者が孤立し孤独を感じているのか。
 
【敵】
グローバル経済の進展に対して、経済団体はコスト競争を選択した。そうすると平均利潤率逓減の法則で、労賃を下げざるを得ない。もう一つの方向は、イノベーションで品質競争だった。選択を誤ったのは誰なのか、その責任を回収すべきは誰なのか。日本のヘイトスピーカーは敵を誤って、中韓を攻撃している。
 
【警察の思惑】
在特会のヘイトスピーチは、大久保や鶴橋だから許可している節がある。明らかにガス抜きに利用している。自民党や政府に対してだったら、許可していないだろう。中国が反日デモでガス抜きしているのと思惑は似ている。
 
【在日韓国・朝鮮人】
強制連行で連れてこられたのは少数で、一旗揚げに来た人が多くて、済州島(さいしゅうとう・チェジュド)の人が多い。日本からブラジルへの移民も、沖縄からが圧倒的に多い。新天地で一旗揚げようという動機が働く。まったく同じ理由。沖縄・済州島の人間は、本島・半島では差別されているから。
今でも、済州島出身の在日の人間が半島に行くと、差別的なまなざしを向けられる。済州島の人間は、韓国にいても、日本にいても差別される。
宮台の幼少の友人にも、ゼミにも、済州島出身の在日朝鮮人がいる。この人達は、新井将敬のように、日本の事をよく研究して、必死に日本人になろうとしている人が多い。そういう人たちを前にして、恥ずかしく感じないのか。
 
済州島
wikipediaより抜粋↓
1948年4月3日には済州島四・三事件が発生し、少なくとも3万人の島民が韓国軍などによって虐殺された。それから逃れるために日本に渡って来た在日韓国・朝鮮人も多い。
済州島の特徴を言い表すのに、「三麗」と「三多」、および「三無」という言葉がある。三麗とは、「美しい心」「素晴らしい自然」「美味しい果物」といった島民の心や景観の美しさ、特産物を意味する。

三多とは、「石と風と女の3つが多い」という意味。火山島であるため、火山の噴火により流出した火山岩が多く、台風が度々通過する上、季節風の吹く地域であり、またかつては漁労のため海に出て遭難するなど男性の死亡率が高かったことに由来している。

三無とは、「泥棒がいない」「乞食がいない」「外部からの(泥棒と乞食の)侵入を防ぐ門が無い(必要無い)」という意味を表す。かつての済州島は、厳しい自然環境を克服するため協同精神が発達しており、そのことも前述の3つが無かった(あるいは必要とされなかった)とされてきた所以とされる。そのために韓国本土に住む人々の気性の激しさとは対照的に性格も温和で純朴だと言われる
出自:梁石日(作家・父が済州出身)竹田青嗣(文芸評論家)和田アキ子(歌手・父が済州出身)
 
【別の我々】
ナショナリズムの右傾化、あるいは幼稚化を受けて、反ナショナリズムでは処方箋として効かなくて、別のナショナリズムが必要なのではないか。
ローティの考えと同じ。抽象的にコスモポリタンなんて議論する連中はバカで、今後も人間は、「我々、と非-我々、」であるしかないんですよ。
「我々という意識」がないと祭りもできないし、コミットメント出来ない。しかし、どこに我々という線引きをするのかは恣意的で、誰と遊んで過ごしたのかで、一発で決まる。だから、健常者と障がい者の混合教育と同じ精神が、別のナショナリズムを立ち上げる。
 
【ヘイトスピーカー】
鈴木邦夫「自分の知らない人たち、嫌いな人たちと一切付き合わないで、気持ちいい仲間だけで付き合っている、そして自分たちで理解できる本だけ読んでいる、とか気持ちいいんですよね、多いですよね。私も右翼の運動をしていて、経験してきた、楽しいんですよ。」
萱野「ヘイトスピーカーへのメッセージは?」
鈴木「異質なものを認めることですね。日本は元々、大陸や欧州から文化を無制限に受け入れて咀嚼してきた。この咀嚼力や寛容性は、世界に誇っていいと思う。それが失われてきているとしたら、悲しい。自分が弱いから、国に強くなって貰ってそれに同一化する、というのでは。」
萱野「自分が社会から零れ落ちるかもしれないという不安に駆られた人が、国家に頼るのではなく、別の道を模索するには、どうしたらいいと思います?」
鈴木「自分の苦境は自分で努力して、それでも不平等だと思ったら政府に要求を突きつければいいと思う。」
宮台「萱野さんは、ヘイトスピーカーを生み出さないためには、何が必要だと思う?」
萱野「今の財政状況から、やれる政策はばらまきではないけれども、そのうえで、日本で日本的ライフを送る人達は、一人もこぼれ落とさせませんよ、という政策が必要だと思う。」
 
【ヤンキー地元衆による自治】
宮台「萱野さんが先取りしていったように、それは財政的に無理だ。ソロスが言ったように、日本国はどのみち潰れる。1500兆円の借金で。国は頼れないが、人は一人では生きられない。スモールスケールの共同体自治の中で、多様な人間と共に生きていく努力が必要だ。ポピュリズムは、抽象的な掛け声に引っ張られる。これは、自分たちにとって手触りが感じられるような具体的な言葉を作り出していないから。」
萱野「良く分かる。私のイメージでは、ヤンキー地元衆による自治。一流企業や国家官僚として地元を去らなかったヤンキーであるうえで、懐の深さも示し、弱い者いじめは許さない。」
鈴木「ヘイトスピーチ禁止の法制化には反対。判断を警察に委ねるのは危ない。時間がかかって苛々するかもしれないが、市民の側の運動で止めさせるべき。」
萱野「愛知のヤンキー地元衆の中で育ったから、好きなんだけれど、地元愛が愛国主義に走って排外主義に至ることも見てきた。暴走族が日の丸を掲げて地元の朝鮮学校の生徒たちと集団乱闘とか。なので、国レベルで何らかの取り組みも必要だと思う。」 
 
【右には右を】
宮台「右には右を、左には左を。右に対して左がカウンターデモをしても、義を巡る争いにならないから。」
萱野「ヤンキーに説教できるのは、ヤンキーが尊敬できる人間だけ。同じように、ヘイトスピーカーに説教できるのは、ヘイトスピーカーが尊敬できる人だけ。それは誰か。」 
宮台「一水会名誉顧問の鈴木さんかな。」
鈴木「私はかつての敵だった人とも話し合ってきたが、それは自分が恥ずかしいからだと思う。立派な人間は、もっと早くに捕まったり、死んだりしている、自分はやはり逃げてきた、という意識がある。だから、色々な人と話してきた。すると、その人の生きざまに学ぶことが多い。普段はきれいごと言っていても、いざという時の決断は、別の人も多い。」 
萱野「決断は、他の事とは別次元にある。シュミットは、決断こそ政治に独特のもので、決断は他の何からも演繹できない。」
 
JIZAKI:宮台の言う愛国・パトリの土台(心情が感染する土台)と、宮台の言う公共空間(土台を共有しない者との共存の知恵)の関係は? 
 
おわり

VideoNews「日本はどこに向かっているのか」鈴木×萱野×神保×宮台(視聴メモ)

【動画概要】

政治権力の源泉は利益分配で、投票者に利益が分配される。その財源(打ち出の小槌)=民主の埋蔵金、自民の日銀。しかしパイはもう増えないので、今後は不利益分配の政治を考えなくてはならない。

 

【視聴動画】

ニュース・コメンタリー (2013年07月27日)
「日本はどこに向かっているのか」

ゲスト:鈴木邦男氏(一水会顧問)、萱野稔人氏(津田塾大学学芸学部准教授) 

http://hlsp01.videonews.com/flash/?U2FsdGVkX18sgJf4VoL3bb4pG%2BmVAaBPfXv0D5GCXjE%3D

http://www.videonews.com/charged/news-commentary/0001_3/002878.php

 

【選挙結果】

2013.7.の参院選。議席は圧倒的に自公が勝ったが、得票率は、そうでもない。野党が小さく割れて、死に票が多かった。

萱野:共産党と自民党、古い政党が残った。この20年に生まれた政党が、全部消えつつある。政治再編を主導した小沢さんの生活が0だった。非常に象徴的。

 

民主党

宮台:2009年の「鳩山パッケージ」=「対米自立、そのための重武装化、そのための憲法改正、そのためのアジア信頼醸成」。これが、頓挫した。

 

【アメリカ】

宮台:アメリカは、二度と、鳩山のような戦前右翼的な動きを認めたくないだろう。日本の対米従属を進めるために、TPP。だから、今回の選挙で勝利したのは、アメリカだった。

 

小沢一郎

神保:民主党のアキレス腱、小沢の金権体質。 検察が、どうでもいい小さな件で秘書を挙げた。検察審査会も、訳が分からない内容。国策捜査。小沢をどうするか、で民主がガタガタになった。あのいいかげんな国策捜査を、問題にしないこの国は、大丈夫か?

 

萱野:別の見方をしている。小沢を脅威に感じた勢力が、小沢を挙げた。そして代表から降りて鳩山に変わったら、逆に議席が伸びた。そこを活かしきれなかったのが、民主の失点。

最大の問題は埋蔵金が出てこなかったこと。外交で失敗したこともあるが。今回の選挙でもそうだが、多くの人は、政府に無い袖を振ってほしい。お金がじゃんじゃん出てくるのを期待している。今回の自民党は、日銀だ、という。

お金があれば人は集まり、なければ人は離れていく。票も同じ。財源が無いので口論になって、民主は分裂した。財源がなくてもどうするか、というラディカルな覚悟があって政権を取ったのであれば、よかったが。

 

宮台:埋蔵金が出なかったので、財務官僚の力を借りて事業仕分けをすることになった。官僚と民主党の力関係が変わった。行政官僚とガチンコで喧嘩する発想は、幼稚。今回の自民がやったように、政権交代の前から官庁の中にシンパを作っておいて、政権交代と同時に一気にポストを入れ換える。

小沢は献金疑惑で下されて、党務に専念していたので、人脈が使えなかった。このように、民主党の使えるリソースがきわめて少なかった。

 

【リベラル】

神保:センターレフトのような人々は、どこに投票すればよいのか。民主党は受け皿にならなかった。ファーレフトの社民・共産。共産は少し伸ばしてるが。

 

【逃げ切り世代】

宮台:50代、60代は、退職金・年金をもらって隠居するためには自民党に入れるしかない。褒められた態度ではないが、合理的ではある。この国という船が沈む前に死ぬでしょう。

 

【保守化?する若者】

宮台:問題は自民に投票する若い世代。危機感がない。沈みつつある船、という認識がない。

鈴木:自民が投票権を18歳以上とし、ネット投票も狙っているのは、自民の票が増えると踏んでいるから。18-19歳が、何か考えて投票権を要求しているからではない。婦人参政権が実現した時に、こういった人がいる。「これで自分とこの票が増える。奥さんは、旦那の言う党に入れるから。」こんな風に舐められていていいのか!と。

宮台:保守の意気があればいいのだが、自明性の域から出れていない。社会的人脈があれば、介護の現場、生活保護の現場が回っていない、ということが分かるはずだが、そんなネットワークを持っている者はいないので、危機意識がない。

萱野:パイが縮小している、という意識は、それなりにあると思う。しかし、そのパイをどう維持・分配するか、という意識ではなくて、そこにどうしがみつくか、こぼれおちたくない、という方向に意識が進んでいる。防衛的になって、他者への攻撃に結びつく。

学生に「なぜ投票に行かないの?」と聞くと、「私が行っても変わらないから」と強弁する子もいるが、本音は、「投票・政策・国会が良く分からない」から。国会でパイを分配している、投票しない奴には分配されない、という政治力学を分かっていない。

その上で、パイにはしがみつきたいから、変な寄生虫(パラサイト)は排除したいから、排外主義や生活保護批判、保守化になっている。

jizaki:日本の公民科教育の問題でもある。

 

【権力の源泉】

萱野:今の民主主義社会における政治家の権力の源泉は、ものをあげること、分配すること。民主党はコンクリートから人へ、というスローガンで当選し、公共事業から福祉へと、分配先を変えた。しかし、分配していることには変わりない。

パイが縮小する中で、自民党は、日銀という打ち出の小づちを編み出し、パイを大きくして多くの人に分配するよ、というスローガンで勝った。

今後、社会システムを維持するために、利益ではなく不利益の分配をせざるを得ない。増税か、給付削減を、どう分配するか。不利益の分配は、近代民主主義の歴史の中で、一度もやったことがない。

 

宮台:不利益分配を受忍するための感情的ベースを醸成するために、地方分権してスモールユニットにするしかない。スモールユニットなら、なんであいつらの為に、という感情が、受忍しうる。

 

原発

萱野:原発に対する選挙民の意識は、短期と長期で考え分ける。原発止める、という世論調査が出ているが、これは長期。自民が勝ったのは、景気という短期。

 

【改憲】

次の国政選挙が3年後で、改憲は3年ではできない。3年、政権を安定させて、次の選挙に勝ちたい、そして改憲したい、という安倍さんの個人的願望。そのために、社会保障の不利益分配や財政の健全化を骨抜きにする可能性が大きい。

今回の自公の得票率が51%で、これでは国民投票で会見を覆される可能性がある。そうすると政権が吹っ飛ぶ。国民の大多数の支持を取り付けなければならない。

憲法改正の前の、安定政権。安定政権のための、ばらまき。このばらまきが、沈みかけている船を徹底的に再起不能にする。

利益分配の政治をする限り、日本の再生は無い。

 

神保:今回の自民の得票は、殆ど組織票。その組織票は、既得権益にぶら下がったもの。既得権益の水脈に沿って利益分配が為される。

 

おわり

VideoNews「3・11後の世界の共感を台無しにした日本のヘイトスピーチ」神保×宮台(視聴メモ)

【動画概要】

VideoNewsに会員登録していない人でも、youtubeでタダで見れる。宮台「2ch系ウヨブタは、右翼の名に値しない。安藤美妃問題と同じで、公共空間が存在しない。 公共空間は、自分とは出自も文化も、価値観や道徳観や性愛観も違う人間と、共存していくための知恵。日本には公共空間に関する歴史的伝統がない。」

 

【視聴動画】

ニュース・コメンタリー (2013年07月13日)

3・11後の世界の共感を台無しにした日本のヘイトスピーチ

http://www.videonews.com/charged/news-commentary/0001_3/002860.php

http://www.youtube.com/watch?v=WDHuuoQcOzc&feature=youtu.be

 

cf.↓中二のヘイトスピーチ(心臓の弱い人は閲覧注意)

http://www.youtube.com/watch?v=YqzwtGj1XuU

 

外国特派員協会で、在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチについて、鈴木邦夫有田芳生が講演した。外国人記者は、この問題の実相を知らなくて、ショックを受けていた。

 

外国記者「今年の2月に、鶴橋で中二の少女がマイクで「在日朝鮮人は半島へ帰れ、鶴橋大虐殺を起こすぞ」という内容の演説をした様子が、youtubeで字幕付きで流れた。世界から日本への3.11.後の共感・同情が失われ、「日本は一体どうしてしまったのか」という印象を受けている。」

 

鈴木「その動画を知らなかった。日本人でも、その動画を検索してまで見る<熱心>な人は、ごく少数だ。しかし、それがネットで世界中に流れて、世界が日本を見る目に影響を与えているので、看過できない。日本のマスコミでは、そのような情報を報道しないが、ぜひ報道して、こんな発言は許されるのか、議論したほうがいい」

 

宮台「2chなどにたむろするネトウヨの実像は明らかになっていて、国民的な広がりを持たない。在特会の問題に無関心だからではなく、ニュースバリューがないから、マスコミは報道しないし、報道されても視聴者は関心を寄せない。」

 

神保「しかし。ネット上で吹き上がっているような話ならば、放っておいてもいいかもしれないが、今回は、街頭でマイクでヘイトスピーチをしている。それを放置している周りも含めて、動画で世界に流れている。放っておいていいのか。

その時に、公権力による規制を呼び込むと、表現の自由に抵触する可能性がある。市民的なレベルで、ブレーキがかかればいいんだけど、それも無関心、という現状では。」

 

宮台「2ch系ウヨブタは、右翼の名に値しない。鬱屈した不安な存在が、承認や溜飲下げを求めて吹き上がっているだけだ。多くの人が、そのような把握をしてきた。だから、ニュースバリューがない。しかし、外国人特派員から見れば、その国民的な深度が分からないから、外国人記者は受け取り方を迷っている。一番簡単なのは、法律で規制することだが、その法律が、別の表現に対して利用される危険性がある。では、法的に規制しないのであれば、マスコミや国会が、キャンペーンを張る必要がある。」

 

宮台「2ch系ネトブタと、在特会は、系譜が違う。ネトブタは、北田暁大が分析しているように、つながりやお祭りのためのネタとして、差別を使っている。在特会は、チーム関西が「特権叩き」で浮上してきた。公園を幼稚園の園庭として使用してきたことに対する抗議から始まっている。大阪の維新の会も、特権叩きから浮上してきた。被差別部落の特権や、公務員の特権を叩くパフォーマンスで、票を得てきた。

 

宮台「関西で育ったので、特権叩きは当然だ、と思う面と、しかし微妙だ、と思う面がある。映画パッチギ的世界を地で生きてきた。長じるにつれ、飲み仲間に朝鮮人や部落民が混交してきて、旧住民的な包摂によって、町の成り立ちを腹に収めて育ってきた。現在ではアファーマティブアクションが不要になっている状況で、京都市や大阪市のバス運転手の給料の高さは、確かに叩かれる弱みを持っている。」

 

宮台「そして、地域の共同性が空洞化し、新住民が移り住んできて、自宅に引きこもって隣近所と付き合わないような生活スタイルが広がると、経緯を知らないアファーマティブアクションは、新住民にとっては逆差別に見えてくる。

だから、在特会問題は新住民問題である。1980’sから表れてきた新住民問題の、一端。東京の在特会は、2ch系のネトブタが多い。共同体の空洞化によって鬱屈した不安な存在が、溜飲を下げたいがために繋がりを求めるのは、先進国どこでも報告されている。」

 

宮台「リアルの社会では、個人的で親密なつながりを持てない孤独な存在が、ネットを通じて繋がっている。性的マイノリティーなどが、そうしてつながるのはいいことだが、ヘイトスピーカー同士がつながって「自分はひとりじゃないお」などと思って差別をまき散らしている状況。」

 

神保「西洋の記者たちは、エドモンド・バークが言ったように、「悪が勝つためには、善が何もしなければいい」 と考えている。つまり、ヘイトスピーチを放置しているのは、それを認めて賛同しているのと同じことだ、と。アメリカではアファーマティブアクションによって、黒人女性であれば、かなり低い成績でもいい大学に入れてしまう。それをアンフェアだという人もいるが、在特会のようなヘイトスピーチをしたら、市民もメディアも黙ってはいない。この点は、どうなのか。」

 

宮台「安藤美妃問題と同じで、公共空間が存在しない。 公共空間は、自分とは出自も文化も、価値観や道徳観や性愛観も違う人間と、共存していくための知恵。日本には公共空間に関する歴史的伝統もないし。日本文化には、仲間(身内)とそれ以外、そして資本化して以降はお客さん、という分類しかない。共同体が空洞化すると、「ごく少数の友達以外はみな風景」という状況になり、「旅の恥はかき捨て」における旅の時間が長くなって、他者に対してとてもbrutalな振る舞いをしてしまう。身内と身内以外に対する二重規範が、近代以前の共同体の在り方。これは、近代社会とコンパチブルではない。」

 

神保「右翼はどこに行ったのか?」

鈴木「左翼の退潮と共に、右翼も細々しくなった。」

宮台「鈴木氏の一水会新右翼と言っているが、真右翼と言うべきで、戦前の民権派などに繋がるルーツがある。国家に依存していない。 反国家・反政府・そして天皇主義である。反国家・反政府でありながら天皇主義であることが奇異に思えるかもしれないが、これは南北朝時代南朝と思えばよい。国家や政府に抗う中で、天皇を押し立てて、義は我にあり、としている。そして民族派右翼はまた、国際派でもある。日本のパトリとして立つためには、イラクや朝鮮の「民族性」を尊重する。だから、排外主義や国家主義とも対立する。国際的にも、右翼の本流はこちら。」

 

外国人記者「自民党憲法草案に天皇を国家元首とする、とあるが、どう思うか。」

鈴木「反対する。天皇は政治に関わらず、文化に関わることが、日本の歴史にも適っている。」 

 

 宮台「ラストサムライと同じ問題で、西郷隆盛の南洲翁の問題でもある。天皇を押し立てて、正統性なり反逆を企てるときに、それが本当に人々の益になっているのか、実は私利私欲ではないのか。三島由紀夫全共闘に「天皇陛下万歳と言ってくれ」と言ったのも、半分はネタだが、半分は、心の底から湧きあがってくるようなパトリを確認したかった。三島は、天皇を崇敬することを教育で強制することを嫌った。それは、天皇陛下万歳と言って教師におべっかを使ったり、社会的競争で上に立とうとする道具にされてしまうから。だから再び、天皇を政治利用しないで、かつ天皇に絶対的に帰依せよ、という主張になる。」

 

神保「長州の山県有朋伊藤博文は、天皇を政治利用した。」

宮台「いま、八重の桜をしているが、福島の会津地方は奇妙だ。誰も嫌がっている火中の栗、京都守護職を買って出ている。薩長から賊軍扱いされたが、会津は自分たちが日の丸の中心にいると思っている。このような愛国=パトリの姿は、日本以外の国でも、標準的である。トルコにおけるクルド人エリート、アメリカにおけるさまざまな民族的出自。このような二重性を生きることの、愛国への緊張関係が、重要。」

 

おわり