jizakiの備忘録

動画や本などのメモ、etc

VideoNews「日本の農業は本当にそんなに弱いのか」昆×宮台×神保(視聴メモ)

【動画概要】
農家数252万戸のうち、販売100万円以下の農家は戸数の6割を占め、票田にすぎない。生業農家はたった36万戸。
対して、農業関連の公務員と団体職員の数は38万人以上(うち農協25万人)で、彼らが「農家は弱者、農業は保護が必要」というイメージを作り上げ、「弱者保護利権(補助金・交付金)」に群がっている。
黒船のTPPを使って大規模・合理化し、海外と競争できる農業を育てうる。
 
【視聴動画】
マル激トーク・オン・ディマンド 第631回(2013年05月18日)
「日本の農業は本当にそんなに弱いのか」

ゲスト:昆吉則氏(雑誌『農業経営者』編集長)
 
【農業の経営主体】 
GHQの農地改革による土地の再分配が、日本の農政の諸悪の根源。日本の地主は、中南米の大地主と小作人のような関係ではなく、農村経営者だった。農村から地主という経営者を追放してしまった。nobles olbiege(篤農家)がいなくなった。
農水省が経営者になり、農協や自治体が中間管理職に、農家は農水省の小作人になった。農家は食管法があるから自分で売れない。これでは経営者になれない。
 
【米価】
高米価は、政策による誘導。今の自民党も。農業界の自殺行為。
日本の農業は補助金や交付金で麻薬中毒にさせられて、経営努力しない体質になっている。お米に関しては、減反政策が最大のガン。 作らない方が儲かる。
農水省の職員は、実は分かってる。分かっていながらも、行政官僚としては政策に従わざるを得ない。農水省の職員も、農政を転換する政治に期待している。
海外の農産品が「安い」というよりは、日本の農産物が「高い」。減反政策によって誘導されているが、それをマーケットが認めている。外食産業の「混ぜ米」や「貧乏舌」に供給する安いコメもたくさんちゃんと作る努力をしないと、海外との競争で食いこまれる。既に外米は外食の混ぜ米に入ってきている。
 
【飼料米】 
「飼料米」政策も、農協利権の匂いがプンプン。農協は米で稼いでいるから、何とか米を作らせたい。米を食うと鶏の卵も豚の肉も白くなる。米を食肉動物に与えているのは日本だけ。タイやベトナムでも、肉食化が進んでトウモロコシを与えている。
 
【農協】 
地域の農協で頑張っているところはあるが、全農(JA)がまずい。
産業組合であるべきなのに、農家(世帯)のための生活協同組合になっている。農協の共済とかは保護されて儲けがいいから、農家でなくても加入する人が多い。準組合員のための金融・保険で儲かっている。
 
【票田】
戸別所得補償が、農地集約の邪魔をしている。「土地持ち非農家」が耕作しているように、書類上操作している。補償が「耕作者」ではなく「所有者」のもとに行く。実際に耕作している人に渡るように議論していたのに、民主党政権の最後に、全員に配っちゃった。票を取るために。零細農家+農協などの農業関連票に期待するのは自民党も共産党も同じ。この点は、みんなの党が一番マシ。
 
【農家戸数と販売金額】
販売金額100万円/年以下の零細農家は、戸数の60%もあるのに、農業生産総額の6%しかない。これがTPPで消し飛んでも、食糧生産にダメージはほとんどない。年販売額が100万円以下なんて、営利活動ではなく趣味の世界。「補助金付き大規模家庭菜園」と呼んでいる。零細農家における昭和30~40年代の兼業と、今の兼業は違う。昔は、農業が主で、出稼ぎに出て行った。今はサラリーマンが週末農業やってるか、あるいは老人のぼけ防止に。今の農政は、これらの「農家」を保護するためにある。
販売金額1000万円/年以上の生業農家は、個数の6%しかないが、生産総額は60%もある。国内の食糧生産は、これらの農家が支えている。「農業」を守り育てるなら、ここを重視すべき。
 
【農地集積】 
農地集積は、都市近郊の方が進めやすい。他に産業・雇用先があるから離農しやすい。農業機械化も、東海ベルト地帯や北九州・北陸三県が早かった。兼業で現金収入あるから。
後継者がいないから、時間が来れば集約される。しかし、TPPに間に合わせるためには、農地流動化を早めた方がいい。
 
【買うか借りるか】
都市近郊では「転用転売期待」で持ち続けている農家が多いから、買ったら高いが、地代は安い。
田舎では、農業や地代に依存しているので、買ったら二束三文だが地代は高い。こういう逆転現象がある。 
土地持ち非農家や非効率な大規模な家庭菜園レベルの農家がなかなか土地所有を手放さないので、所有権を手放した人には「退職金」のようにお金をドバっと出すし鵜組が議論されている。
 
【大規模化】
2haでは機械の減価償却できない。米作は30ha以上で利益が出る。
30haまでは家族経営で出来る。春秋だけ家族外を臨時雇用。
50ha以上あると、社員を雇わないと回らない。
 
【風景と農業】 
中山間地の棚田「風景」や零細「農家」を保護することと、「農業」保護は別。
中山間地はグリーンツーリズムで。平野部は大規模近代合理化農業で。いずれも食品加工とセットで。
 
【加工品】
一次産品を作る栽培だけの農業では勝てない。農業の原材料になる人件費や石油代、きが高い日本で、安い農産物を作れるわけがない。
オランダのチョコレートやフランス・イタリアのワイン・チーズ、高度な加工品にして売るのが先進国型の農業。
カルビーは、様々な勢力に妨害されながらも、ポテトチップス用のジャガイモ栽培を北海道で成功させた。生食用のポテトを揚げても色が悪い。カルビーの努力で加工用のじゃがいも栽培のレベルが上がった。
 
おしまい