VideoNews「NGOは世界をどう変えるのか」目加田×宮台×神保(視聴メモ)
【動画概要】
NGOとNPO。冷戦後の世界。財源。寄付と啓蒙(public education)。日本社会の歴史的経緯とNGO・NPO。
【視聴動画】
【NGOがなければ世界は回らない】
機動力の高さ。現地ニーズの把握力。
スマトラ沖地震を機に、専門家に話を聞いた。
【スマトラ沖地震での活動】
今回は、前代未聞の広範囲の災害。それと継続性はどうなるか、が注目される。
非政府組織と非営利組織。国際的な話題ではNGOと言われ、国内的にはNPOと言われる。実体は基本的には同じ。
歴史的には、国家の国際的な連合である国連憲章で、NGOの言葉が使われた。だからNGOは国際問題で使われる傾向。対してNPOは、国内での地域問題、環境問題を扱う時に使われる。NGOは基本的にNPO。
第一セクター=政府=G、第二セクター=企業=P、第三セクター=市民社会。civil sociatyによる活動としての、NGO、NPO。
海外では、community based organization(CBO), grass roots organization, citizen's organization, people's organizationなど、様々な言葉で呼ばれている。最近ではcivil society organization(CSO)という言葉が一般的に。国連など国際社会の書類では、NGOと同じ頻度でCSOが使われている。
non非であって、anti反ではない。日本での「市民」の使われ方が、反政府、反企業という文脈で使われてきたので、シビルと訳すことが多い。
【活動の高まり】
冷戦中は安全保障や軍縮などのいわゆるhigh politicsが国際社会の主題で、米ソ以外の意見は反映されにくかった。冷戦後、特に1992年リオサミット以降、国連によって単なるオブザーバーからパートナーに位置づけられる。女性問題や環境などの、いわゆるlow politicsの解決に向けて力を発揮。
冷戦前からも、service部門では蓄積あったが、冷戦後、adovocacy部門において大きな提案力を持つようになる。
二極化の傾向・・・大きなところは肥大化し、小さなところは零細なまま。財政面。
【財源】
アメリカと欧州で異なる。アメリカは、民間財団からが比率大きいが、他国と比べると政府からの援助も大きい(jizaki:これは他国の「民主化を推進」する半スパイ団体等への、じゃないか?)。欧州は政府からの補助金が圧倒的に大きい。
財源の在り方は、団体によって異なる。政府からの支援が大きいと、政府の政策に依存しがちになるので、財源を多様化する団体も多い。
【寄付と啓蒙】
寄付を集めるため、public educationを活発に、地道に行っている。
電話、DM、ネット、ミニ集会・学習会で活動内容、存在意義、を説明。
adovocacyを行う際に、「誰の声を代表しているのか」、を問われる。
【政府と企業】
なぜ、政府や企業ではできないのか? 国益や企業益とは別の視点で支援できるから。しかし、政府や企業からの財政支援が大きいと、そうなるのでは? ありえる。
INGO(international)では、各国支部間で対立がある。イラク戦争でのイギリス支部とアメリカ支部の対立など。
【国際会議】
国際会議などにNGOが入ることで、国家間交渉でエゴむき出しにやると5分後にネット配信されて恥ずかしくなり、public diplomacy(自国益だけでなく国際益も考える)を重視するようになった。
【日本】
NGOの規模が小さいのはなぜか。
意識面・・・王権を倒して立憲した市民革命の経験がない。目に見えない遠い他者の不幸に感応するような、普遍的な宗教社会学的な心性がない。国益、国民益、企業益とは異なる、公益という観点が薄い。寄付を、地方政府にしてしまう。統治権力に対する盲目的な隷従がある。
制度面・・・寄付に対する税制優遇措置がない。NPO法人でも、税制優遇を獲得しているのは数%。
団体・・・たこつぼ的で、自分たちのしたいことをしているからいいではないか、というところが多い。public educationが弱い。
【寄付】
寄付に税制優遇措置があれば、よりすぐれた団体に寄付が集まり、ある種の投票行為によって団体や活動が淘汰される。
政府の行政活動は、完全に合意された範囲で行い、グレーゾーンについてはNGOが行っていく。このような補完的な仕組みが出来ればいいのだが。
【西ヨーロッパの歴史】
12世紀の叙任権闘争で聖俗二世界論に。国家の言うpublicと教会の言うpublicは違う。国家はお金や行為に関わる。教会は心やヒューマニズムに関わる。教会が神や地獄を持ち出して市民を脅迫してくることに対して、初期ギリシャ思想で対抗する流れも。市民のpublicもある。
【日本の政治】
日本では、江戸幕府も明治政府もGHQも戦後政府も、すべて「お上」。自分たちで統治している、という意識が薄い。日本の仏教は奈良以降、国家の繁栄を祈念してきた。一向一揆は例外。
日本のNPOは政治性を排除して、安全な存在ですよ、とアピールしたがっている。政治的な発言をする団体を「色がついた」マージナルな存在として囲い込む空気がある。
<以下、最近のニュースについて>
【従軍慰安婦の民間法廷のNHK番組に関する安倍の発言】
日本の政治家の2ちゃんねらー化
不信ベース、疑心暗鬼、オブセッシブ、誇大妄想、不安ベース、腹くくってない。
みんなが不安になると、最もへたれな奴の中から、断固たる決断主義が出てくる。
【大卒生の人気企業ランキング】
大手銀行や商社をトップに、有名企業ばかり。不祥事があったり、検察の手が入った会社も。不良債権で公的資金で救済された銀行=Too big to fail。財閥系は準公務員の扱い。
楽天やライブドアやソフトバンクが入ってない。そこでのしていく自信がない。
「寄らば大樹の陰」では立ち行かなくなっている、という雰囲気が流布すればするほど、皆が不安になり、大樹に寄っていく。
【不安社会】
2つのニュースに共通するのは、ホームベース(生活世界の根っこ)を失い流動する社会にさらされた人間の不安。
jizaki:これでNGOとかNPOって、どういう展開が?→地域やアイデンティティや趣味の縁の結わい直しも含めた活動だろうな。
おわり
VideoNews『これがTPP交渉の内幕だ』内田×宮台×神保(視聴メモ)
【動画概要】
秘密協議のTPP交渉の場に、アメリカのNGOメンバーの肩書で潜入した日本人を迎え、TPP交渉の状況や自由貿易の悪影響について議論。私は、マスコミで流れない重要な情報を伝えてくれる「VideoNews」を応援してるぞ! みんなも見たら参考になるかも。
【視聴動画】
【ステークスホルダー】
ステークスホルダー(利害当事者)の参加者うち、8割が企業。その企業のうち、8割がアメリカに本拠を置く多国籍企業。つまり、TPPの交渉参加者の約64%(=0.8×0.8)が、アメリカ企業。誰に有利な協定で、だれに利益が配分されるのか、明らかだろう。以下、TPP交渉に代表を送り込んでいる企業の一部。
アフラック、カーギル、シティ、エクソン・モービル、ギャップ、ゼネラル・エレクトリック、ゼネラル・モータース、ゴールドマン・サックス、IBM、マイクロソフト、ニューズ・コーポレーション、オラクル、ファイザー、フィリップ・モリス、コカ・コーラ、タイム・ワーナー、ウォルマート、ゼロックス
【国家・政府の役割】
一般的にTPPは国家間の貿易協定と理解されているが、その実情は政府がエージェントとなって企業間の利害の調整を図る、契約交渉の場と化している。政府の官僚も、エートスがエリートだから、国民全体(中間層の多くが低所得化して行く)の利害よりも、大学の同窓生や親戚などが多く勤めている多国籍企業の利害を考えてしまう。1% vs 99%。
【自由貿易で貧困増大】
メキシコやNZは、自由貿易を推進した結果、貧富の格差が拡大し、貧困層が増大した。国民所得の平均で見れば、GDPは増加したかもしれないが、それは一部の富裕層に集中している。
国民の中間層の富を、富裕層に移転する経済構造なわけだ。
【日米の事前協議】
TPP参加交渉と、日米事前交渉が並行して行われているが、これは日本をアメリカに都合の良い条件でTPPに参加させるための仕組み。
両国首脳が交渉した内容について、日本向けの書類と、米国向けの書類の内容が違う。安倍首相は「聖域が確保された」というが、米国文書には、そんなものは記載されていない。
【TPP後の日本】
自由貿易を進め関税障壁を撤廃し、水道・ガス・電気などの公共サービスを多国籍企業に委ねた他国の事例をなぞるだろう。貧富の格差は今まで以上に拡大し、今まで以上に固定化する。
確かに、市場に「安い品物」は入ってくるようになるが、それを買うことで支えられるのは、その地域の雇用や社会ではない。
少々割高でも、その地域の雇用と社会関係を支える会社や農家の産品を買う方が、各地域の自立的な経済には適っている。
【1% vs 99%】
先進国では、中間層が解体して低所得化している。TPP交渉は政府間交渉の体裁を取っているが、内実は多国籍企業並びにそこに投資する資本と、毟られる側の人間、という構図。
【コモンズ】
自由貿易の行き過ぎは、コモンズ(社会的共通資本)を破壊する。社会関係、地域のネットワーク、環境、など。
【jizakiのメモ】
BOPビジネスというのがある。Base Of Piramidで、要は貧困層から薄く広く吸い上げる商売だ。その吸い上げが多国籍大企業を通じて投資家に行くのではなく、再び貧困層に帰って来るようなビジネスを組み立てるべきだろう。
下は下でやっていく、離脱の道がると思う。
・低所得者(購買力=貨幣をあまり持たない者)が、農作業と引き換えに規格外野菜を持ち帰る運動。規格外野菜とは、虫食い穴があったり、形・大きさが不ぞろいで流通に乗らないが、食品としては問題ないもの。
一方で、有機無農薬で美味しい規格野菜は金持ちに売りつけて、ローカルな農場の資金にする。
・五右衛門プロジェクト:大企業・大投資家から富を奪い、貧者にばらまく。
・日本は教育費が高いと言われている。じゃあ、自分らで教育する。
・「スロー京都(C)」:貨幣を介さない、社会関係による交換のネットワーク。京都の社会的共通資本の偏在。北高南低。左京区や中京区などに集積。この地域性はいやらしいが、やりたい人がやれる所で始めるしかない。
おしまい
ニコ論壇「愚民社会」 大塚英志×宮台真司
【視聴動画】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16843283?group_id=35748121
2012.1.30
宮台は田吾作、大塚は土人と言っている。以下、彼らの発言。
結局、良い先生による教育にしか活路はないという話。教育制度ではなく。
jizaki:それを担保するために、給料と人数を倍つまり人件費4倍にすればかなり良くなる。昔から浅田彰と森毅が言ってた。私も教員を辞めたから大声でもいえるww。
入れ換え可能な空間と固有性を持った土地の違い。建築家は、どの土地にも同じような箱モノを立ててしまう。どこに行っても既視感がある。
組合運動も、国の経済や企業の収益等という大きなものに依存して存立している。アメリカ独立当時の様々な結社は、下から国家を作り上げるモメントを持っていた。
3.11.のあと、寄付合戦を見ていて、日本は江戸時代から変わらないんだなあと思った。
田吾作や土人の陶冶はあきらめて、衆愚を領導出来る秀逸な人材を淘汰する方向へシフトすべき。しかし、今はエリートの淘汰システムがない。小泉チルドレンとか橋本チルドレンとか、酷い人材がポっとうかっちゃう。
などなど。