VideoNews『これがTPP交渉の内幕だ』内田×宮台×神保(視聴メモ)
【動画概要】
秘密協議のTPP交渉の場に、アメリカのNGOメンバーの肩書で潜入した日本人を迎え、TPP交渉の状況や自由貿易の悪影響について議論。私は、マスコミで流れない重要な情報を伝えてくれる「VideoNews」を応援してるぞ! みんなも見たら参考になるかも。
【視聴動画】
【ステークスホルダー】
ステークスホルダー(利害当事者)の参加者うち、8割が企業。その企業のうち、8割がアメリカに本拠を置く多国籍企業。つまり、TPPの交渉参加者の約64%(=0.8×0.8)が、アメリカ企業。誰に有利な協定で、だれに利益が配分されるのか、明らかだろう。以下、TPP交渉に代表を送り込んでいる企業の一部。
アフラック、カーギル、シティ、エクソン・モービル、ギャップ、ゼネラル・エレクトリック、ゼネラル・モータース、ゴールドマン・サックス、IBM、マイクロソフト、ニューズ・コーポレーション、オラクル、ファイザー、フィリップ・モリス、コカ・コーラ、タイム・ワーナー、ウォルマート、ゼロックス
【国家・政府の役割】
一般的にTPPは国家間の貿易協定と理解されているが、その実情は政府がエージェントとなって企業間の利害の調整を図る、契約交渉の場と化している。政府の官僚も、エートスがエリートだから、国民全体(中間層の多くが低所得化して行く)の利害よりも、大学の同窓生や親戚などが多く勤めている多国籍企業の利害を考えてしまう。1% vs 99%。
【自由貿易で貧困増大】
メキシコやNZは、自由貿易を推進した結果、貧富の格差が拡大し、貧困層が増大した。国民所得の平均で見れば、GDPは増加したかもしれないが、それは一部の富裕層に集中している。
国民の中間層の富を、富裕層に移転する経済構造なわけだ。
【日米の事前協議】
TPP参加交渉と、日米事前交渉が並行して行われているが、これは日本をアメリカに都合の良い条件でTPPに参加させるための仕組み。
両国首脳が交渉した内容について、日本向けの書類と、米国向けの書類の内容が違う。安倍首相は「聖域が確保された」というが、米国文書には、そんなものは記載されていない。
【TPP後の日本】
自由貿易を進め関税障壁を撤廃し、水道・ガス・電気などの公共サービスを多国籍企業に委ねた他国の事例をなぞるだろう。貧富の格差は今まで以上に拡大し、今まで以上に固定化する。
確かに、市場に「安い品物」は入ってくるようになるが、それを買うことで支えられるのは、その地域の雇用や社会ではない。
少々割高でも、その地域の雇用と社会関係を支える会社や農家の産品を買う方が、各地域の自立的な経済には適っている。
【1% vs 99%】
先進国では、中間層が解体して低所得化している。TPP交渉は政府間交渉の体裁を取っているが、内実は多国籍企業並びにそこに投資する資本と、毟られる側の人間、という構図。
【コモンズ】
自由貿易の行き過ぎは、コモンズ(社会的共通資本)を破壊する。社会関係、地域のネットワーク、環境、など。
【jizakiのメモ】
BOPビジネスというのがある。Base Of Piramidで、要は貧困層から薄く広く吸い上げる商売だ。その吸い上げが多国籍大企業を通じて投資家に行くのではなく、再び貧困層に帰って来るようなビジネスを組み立てるべきだろう。
下は下でやっていく、離脱の道がると思う。
・低所得者(購買力=貨幣をあまり持たない者)が、農作業と引き換えに規格外野菜を持ち帰る運動。規格外野菜とは、虫食い穴があったり、形・大きさが不ぞろいで流通に乗らないが、食品としては問題ないもの。
一方で、有機無農薬で美味しい規格野菜は金持ちに売りつけて、ローカルな農場の資金にする。
・五右衛門プロジェクト:大企業・大投資家から富を奪い、貧者にばらまく。
・日本は教育費が高いと言われている。じゃあ、自分らで教育する。
・「スロー京都(C)」:貨幣を介さない、社会関係による交換のネットワーク。京都の社会的共通資本の偏在。北高南低。左京区や中京区などに集積。この地域性はいやらしいが、やりたい人がやれる所で始めるしかない。
おしまい