jizakiの備忘録

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VideoNews「浜矩子氏:アベノミクスは浦島太郎の経済学だ」

【概要】

「成長」経済から「成熟」経済へ舵を切るべき。アベノミクス=アブナミクス。量的緩和は「製品デフレ」と「金融バブル」をもたらす。確か同志社の先生で、新聞では何回か読んでいたが、動画ではははじめて見た。何だか不機嫌なご様子だが(笑)。

 

【動画】

http://www.youtube.com/watch?v=2CInH3eo10k&feature=youtu.be

2013.1.26.(インタビュアー:神保)をみてメモ。

 

【言葉の誇大広告】 

  • 「アベノミクス」という言葉自体、気に入らない。何か実行力がある政策のように見せかけている(ある種の言霊作戦)が、中身がない。

 

公共投資

  • まず、成熟した先進国では景気対策としての公共投資は有効でない。「国土強靭化」をやる必要性と、経済的な波及効果(これは少ない)は別。

 

【金融緩和】

  • また、金融緩和の規模を大きくする、と言っているが、そのお金は「国内の生産」に回らず、投資家は「国内外の投機的金融」に回すだろう。だから実体経済は回復しない。

  

  • 「物価が上がらなくても、物価が上がるまで紙幣を刷る」というアベノミクスは、デフレ経済下のバブルをもたらす。実物経済(製品)は冷え込んだままで、お金は株や不動産や金goldなどの投機商品に流れるだけ。「製品デフレ」と「資産インフレ=金融商品のバブル」の同時進行という、これまでの経済学的枠組みからすれば奇異な状況がが起こるだろう。うまく売り抜けることのできる投機家以外の、一般市民には実感ない。今後、アベノミクス恐慌(デフレ下の物価高)が起こる。

 

  • 円安では原料代(原油は高騰している)が高くなる。「国内生産」の車や家電は売りやすくなるが、新興国との価格競争で勝てるほどだろうか? それに、部品が海外生産であったり、組み立て工場が海外にあったりで、円安の利益を純粋に受けられる企業は少ない。また賃金が、物価に合わせて上昇するのか、不明瞭である。

 

【富の偏在】

  • 今回の「アベノミクス」で儲かるのは、「国土強靭化」の公共事業で儲かる土建業種と、株や不動産などで売り抜けた投機家だけで、一般市民は物価が上がり賃金下がり損をする。

 

  • 「日本国政府」のための金融緩和、インフレターゲット論になっている。政府の国債を「日本銀行」が無尽蔵に買い取ることで、日本国政府は財政を気にしなくて済む。しかし「日本経済」のためにならない。格差は今以上に拡大する。

 

  • 85年の「プラザ合意」は、成長経済から成熟経済に転換するチャンスであったが、旧来の体制から転換することを拒み、バブル経済をもたらした。それと同じことを、起そうとしている。

 

【成熟戦略】

  • 先進国に必要なのは、「成長戦略」ではなく、「成熟戦略」である。成長しきった経済を、いかに分かち合うか、を考える政策が重要。量的緩和は、短期的なバブルに終わる。

 

  • 成熟経済とは、「シェアビジネス」や「里山資本主義」を推進すること。エコでスローな草食系のライフスタイルへの転換で、経済成長も可能。

 

  • 日本のように大きくなった経済では、ゼロ成長でも経済は回る。量的な成長ではなく、質的な成熟を。失業中の人の雇用を作るような、包摂政策が重要。経済成長していても、格差が拡大したのが近年の日本社会であった。社会的には「富の偏在」が問題である。