jizakiの備忘録

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VideoNews「右も左もかかってこい Part2」萱野、鈴木、斉藤、武田、宮台、神保

【概要】

2001~2008年を振り返る。「9.11テロ」から「小泉劇場」、「セキュリティ社会」まで。

 

【動画】

http://www.videonews.com/on-demand/0391391400/000803.php

(2008年11月29日)マル激トーク・オン・ディマンド 第400回 400回放送記念特別番組 生コールイン 出演:萱野稔人、鈴木謙介斎藤貴男武田徹宮台真司神保哲生 (パピレスで購入)を見ながら、メモ。

 

【2007年のPart1】 

2007年に無料放映されたPart1は、宮台司会で萱野と小林よしのりの左翼-右翼対談で、沖縄論に始まり左翼論、右翼論に広がる対談で、面白かった。

 http://www.nicovideo.jp/watch/sm701088

 

【2008年のPart2】

【一部「2001年に開始してから400回の放送を振り返る」神保×宮台】

 

<9.11テロ> 無垢なアメリカがイスラム原理主義にテロされた、という論調に対し、アメリカは無垢なのか、と反論。イラク戦争が石油利権のための戦争であると論破。

 

小泉劇場> 新自由主義による「労働規制の緩和(派遣・非正規)」は、社会の包摂力が低下した状況で、悲しい状況を作り出している。「小さな政府」は、「大きな社会」による包摂力があるからこそ可能なはず。確かに「大きな政府」は財政的に持たないし、20年前に唱えられた「小さな政府」の理念には賛成だが、それは「大きな社会」の包摂力が前提。

 

<製造業> トヨタは人づくりにコストをかけていて、高品質で高付加価値の商品を作り出している。レクサス。パソコンや家電は「組み立て産業」になっていて、部品、労賃、地代の安い組み合わせでassembleしている。これでは新興国に勝てない。

<メディア> ネットの台頭で新聞が読まれなくなり、広告収入が落ちて広告代を下げたのでパチンコの全面広告が出たりしている。

 

 <食品> 添加物アドバイザー安倍司による、食品添加物の衝撃のマジック。3歳までに食品添加物を食べると、舌が学習してしまう。香料を調合する会社がある。

 

 <司法> 近代国家では市民が「統治権力」に刑罰の裁定と執行を委ねており、統治権力の暴走に歯止めをかけるために、「推定無罪」の原則がある。また、取り調べの方法に過ちがあった場合も、無罪となる(due proccess of law)。

しかし、残虐な事件があった時に、被害者・遺族や市民の処罰感情が強いと、司法が推定無罪の原則を曲げてしまう恐れが近年高まっている。このような民度の低い社会にあって、「裁判員制度」は市民の処罰感情を調達して正当化する権力の源泉として利用されるだろう。人びとは、裁判員制度で失敗(無実の人に刑罰を下す)をしてしまうことで、学んでゆくしかないのかもしれない。

ロールズ(『On Justice』、1971)は、自分がまた生まれてきたときに、この社会の最悪の立場に生まれた場合に許せないような状況は、「正義」として認めてはならない。

 

【二部「視聴者から生電話:トークイン」鈴木×萱野×神保×宮台】

  • 衆愚政治が暴走しないように、「卓越的(エリート主義的)民主主義」は必要。
  • 「行政官僚制」は「既得権」を固定しやすいので、どうするか。
  • 「 設計主義social planning」の可能性と不可能性。「設計」の意識。
  • なぜ今、警察が大麻に対して動いているのか? 「大麻」の扱いは、先進国で足並みがそろっていない。「脱法ハーブ」を巡る議員立法の動きなど。
  • 実存的な「生きづらさ」に対して、「超越的」なもの(神、天皇、エクリチュール)を持ってくるのか、「内在的」なものを持ってくるのか、存在意義=承認を持って来るのか。三田宗介『まなざしの地獄』は、永山則夫と加藤智大にまなざしを向ける。「寂しさの問題」を「貧しさの問題」にすり替え・同一視する論壇。承認を得られたとして、実存は満足するのか。
  • 9.11テロで、イスラム系住民に対して「推定無罪」の原則をかなり逸脱してグアンタナモに送り込んでいる。この落とし前を、どうつけるのか。『バットマンダークナイト』には、ジョーカーは社会の要請で「闇の騎士」として汚れ仕事をやっているんだ、とバットマンに認めさせるシーンがある。
  • 夢見て留学する若者に、期待を裏切られて失望する人は多い。恥をかくことを恐れてはいけない。階層上昇のモデルとしてのアメリカのイメージは落ちている。日本の若者では、文化的ナショナル・プライドが上がっているが、外国へのフォビアと裏腹かもしれない。
  • 日本に大麻が自生しているのに、他の地域のように嗜好品として利用されてこなかった。これは、民俗学的にも解明されていない謎。大麻を禁じる論法としてstep stone theory(より強い麻薬に手を出す)が言われるが、実証はされていない。
  • ワイドショーも「電凸」も、倫理観に訴えかけて(「釣り」、「フック」をして)、社会的な議論の「プラットフォーム」を作ろうとする。マスコミのメディア・スクラムも、2chの炎上も同じ。こうして用意したプラットフォームをもとに、次に何をしようとしているのか。

 

【三部「視聴者から生電話:トークイン」斎藤×武田×神保×宮台】


  • 質問も相変わらずつまらなかったので、パス。

  

おしまい