jizakiの備忘録

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VideoNews「税制改革で国のカタチをどう変えるか」森信×萱野×神保

【概要】

税は、地味なテーマではない。税は、市場以外の通路で唯一、合法的にお金を移動させる方法であり、市場と国家の仕組みを考える際に避けられない。

今の政局とは状況の違う部分もあるが、理念の移行という点では参考になるかも。私には「所得控除」と「税額控除」の差が理解できなかったが。民主党に政権交代して、税制改革がどうなるか、という話。元大蔵省官僚を招いて。

 

【動画】

http://www.videonews.com/on-demand/501510/001620.php

(2010年12月11日)マル激トーク・オン・ディマンド 第504回(購入) のメモ。

  

【議論を2面に整理】

① 社会の形に応じた望ましい税制は何か、所得再分配のバランス(所得税・法人税)

② 政府の規模=大きな政府~小さな政府・・負担とサービスの規模(消費税)

 

【税の三機能】

① 公共サービスの財源・・消費税

② 所得の再分配(格差・貧困)・・所得税

③ 景気調節とグローバル化対策・・法人税

 

【政局】

消費税の導入・増税は、選挙・支持率で反感を買って政権を弱体化させることが多いので、政治家の「ババ引き」になってなかなか税制改革が進まない。消費税を導入した竹下総理は、本当は勲章もの。

 

【税制理念】

  • 「所得控除」から「税額控除」へ。租税体系に穴が開いているから。
  • 「所得控除deduction」=所得金額から引かれる。所得税や住民税を計算する時に、先に引き算(控除)した後で、税金が計算されること。社会保険料控除、医療費控除、配偶者控除、扶養控除など。
  • 「税額控除tax credit」=先に税率をかけて税額を算出してから、後で引き算(控除)すること。
  • セーフティーネットを無制限に張ることは財政的に破たんする。wellfareからworkfareへ。職業訓練や週30時間以上働くと給付される形で。
  • 税と社会保障の一体化を進めるには、番号制の導入が必要。「番号は、家(あなた)の鍵(key)ではなくて住所(adress)」なので、プライバシーの侵害ではない。
  • 「公平と効率」公平に、所得の再分配をする一方、低所得者社会保障を安くし、高所得者が海外に所得移転させない効率的な税制。

 

【法定税率(表面税率)と実効税率】

アメリカでは特に、法律で定められた税率と、節税対策(tax plannning)によって実際に払っている税率は違う。アメリカ企業は、著作権を管理する会社をタックス・ヘブンのケイマン諸島などに置いている。アメリカの法人税は法定40%、実効0%。

このような形で所得が海外(アジアではシンガポール)に逃げないようにするために、法人税率を下げて、課税対象(課税ベース)を広げるべき。

日本の法人250万社の9割は同族企業で、会社の売り上げと社長の売り上げを移転しやすいので、社長は給料もらって会社は赤字で節税、がしやすい状況。日本は取れるはずの法人税を3割しか取れていない。

 

【産業構造の転換】 

減価償却の税制を変えると、産業構造の転換を促す。日本では重厚長大型産業(経団連)の発言力が強いので進んでいないが、 IT企業やサービス産業の社長は、この点もっと発言すべき。

 

【サラリーマン】

  • サラリーマンに認められる経費(スーツ代など)は100~200万程度、と計算されていることになっている。
  • ベビーシッター代や、単身赴任の引っ越し代なども、経費として認めろ、という議論がある。
  • サラリーマン(10割)は源泉徴収されて、すべて天引きされている。それに対して自営業(5割)や農家(3割)の捕捉率は低い(トーゴーサン?)。だから、サラリーマンの税率下げろ、という裁判を起こした人がいて、税率が低くなっている。
  • サラリーマンは会社が税務をやっているので納税感覚が薄いから、各自が確定申告したらどうか、という議論がある。会社の経理に、社員のプライバシーが全部知られる、という面もある。
  • また、会社は社員から徴税して年末調整しており、行政が行うべき税務を肩代わりしているので、行政は会社に手数量払え、と訴えた社長がいる。裁判所の苦肉の判決は、社員から徴税してから役所に納付するまで1か月の期間があるから、その期間の運用益で賄え、というもので、中小企業の社長の間では知られた話。

 

【年金】

 今、年金を受け取っている人は、働いていた時の年金負担率が低かったのに、かつて納めたから、ということで払った以上の額を満額、受け取って当然と考えている。しかしそのお金は、今働いている人が納めているお金で、その人たちは、今年金を受け取っている人の半分以下しか受け取れないことが明白。どうするのか。

 人口とGDPが成長する前提で組まれた社会保障制度が破綻してきている。年収600万円以上の人は年金は満額は受け取らない、などの措置が必要。しかし、政治家にとってこんなに大きなダメージを受ける政策は言えない。

そこで、消費税を10%に、ということになる。これは逆進性を手当てする政策とセットなのは当然だが、租税把握しにくい中小企業も、事業のために商品を買うので、そこで消費税を上げられる。

↓年金の世代間格差

http://www.premiumcyzo.com/modules/member/2012/02/post_3089/

1940年生まれの人が平均的な寿命まで生きた場合、生涯に受け取ることのできる年金の総額は、生涯に支払った年金保険料の総額より3090万円多い。これに対して、1960年生まれの人の場合は、260万円マイナス。1970年生まれの人の場合は、1050万円マイナス。1980年生まれの人の場合は、1700万円マイナス。1990年生まれの人の場合は、2240 万円マイナス。2010年生まれの人にいたっては、2840万円のマイナスになる。1940年生まれの人と2010年生まれの人を比べると、その差額はなんと5930万円です。

 

 【国債】

将来的に国内で吸収出来なくなるであろうし、その時に暴落したら経済は破滅的に。

 

おしまい