VideoNews「TPPは農業へのショック療法となり得るのか」鈴木×宮台×武田
【概要】
2年前の対論なので状況が古いところもあるが、農協などをめぐる情勢は大きく変わってないのでは。
【動画】
http://www.videonews.com/charged/on-demand/491500/001613.php
(2010年12月04日) マル激トーク・オン・ディマンド 第503回
ゲスト:鈴木宣弘氏(東京大学大学院教授) 聞き手:武田徹、宮台真司 をみて、メモ。
【TPPのルール】
TPPは、全てのモノ・サービスの関税を10年以内に撤廃。
カナダは「乳製品は関税撤廃できない」と言ったので、TPPに入れなかった。(*カナダからすれば、2013年の日米首脳会談の「安倍のコメ」と「オバマの自動車」は意味不明)
【外需依存率】(輸出率) 日本=15%、韓国=45%。
【日本の農業人口】 1.5%で260万人。65歳以上が62%
【日本の農産品生産額】 1984年 11.7兆円 2008年 8.5兆円
【農産物平均関税率】
インド 124.3% タイ 34.6% EU 19.6% 日本 11.7% アメリカ 5.5%
【高関税品目】
コンニャクイモ 1700%、えんどう豆 1085%、米 778%、小麦252%など。
野菜など9割以上の品目は低関税。他国では500%を超える関税の品目はない(ペナルティーを食らうから)。
jizaki:他国は「所得支持政策」をしているからでは?
【TPP試算】
TPPに参加したら(農水省試算)
生産額 -4.1兆円/年 多面的機能 -3.7兆円 GDP -7.9兆円
就業者 -340万人 食糧自給率 40% → 14% (カロリーベース)
日本の自給率はは1960年には79%だった。韓国のFTA後の食糧自給率 25%
TPPに参加しなかったら(経産省試算)
実質GDP -10.5兆円 雇用 -81.2万人 (自動車、電機電子、機械の3業種)
上記の2省庁の試算はやや大げさ、と言われている。
【欧州の農政】
ヨーロッパでは、農業が作り出す生物多様性、環境保全、風景保全、などの価値に予算配分している、と市民の理解がある。日本では行政が「多面的機能」というけれど、お金バラ撒きのいいわけでしょ、と思われてる。
フランスの新規就農の研修は10年。
【自民党と民主党の農政】
農村人口を都市に移転して重化学工業を育て、その見返りとして農村に利益還元してきた、農村政党の自民党。
自民党は農村や工場など、生産点を重視してきた。
関税や減反で高価格を維持して、消費者に負担を押し付けていないか、という負担。
農村の自民党は「価格維持」政策、都市の民主党は「所得支持」政策。 農家保護から農業保護へ。
民主党は都会っ子、もやしっ子、官僚や農協を一方的に敵視して回るはずがない。
【農協】
農協は集票組織として政治力を行使してきたが、都市の消費者に悪いイメージを持たれた。
JAの若手(全中の)は、今までのやり方ではうまくいかないだろう、と分かってる。
農協は地域の情報や施設を持ってるので、農協抜きに農村の再生はない。
「農地法」は、色々制約が多かったが、今回の改正で、長い期間、企業などが借りられるようになった。農協も生産に関われるようになった。中山間地は、農協職員が耕す、とか。
【日本のコメ】
減反政策は、かなり農家の意欲をそいでいる。
自主流通米の拡大で、一律の価格維持政策は通じなくなっている。
減反にお金使うより、米粉、飼料米、輸出拡大に使う。
ゼロ関税になると、戸別所得支持政策は、持たない。コメだけで毎年2兆円必要。
【日本の農業】
日本の新規就農の研修は最大3年だが、日本の土地生産性はアメリカの9倍もあり、非常に労働集約的で、綿密なコツ(ノウハウ)が必要であることを考えれば、もっと長くてもいい。
水耕栽培は、作れる作物限られてるし、病気のコントロールが難しい。結局、土の状態が良いことが重要。
参考【硝酸過多】
窒素負荷・・・(農地で循環できる量)分の、(投入された窒素分)
今では2倍ほどになっていて、健康被害も出ている。
離乳食で硝酸態窒素の多いホウレンソウを与えると窒息死起こる。メカニズムは、亜硝酸態に変化してヘモグロビンと結合し、酸欠を招く。