jizakiの備忘録

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VideoNews「日本農業再生の道」神門×宮台×武田

【概要】

日本の農業に対する生産者と消費者の集団的な誤解がある。4年前の動画だが、日本の農業の抱える基本的な問題を勉強しようと思ったが、300円払う価値はなかった。神門と宮台の話がかみ合ってない。

 

【動画】

http://www.videonews.com/charged/on-demand/0391391400/000802.php

(2008年11月22日)マル激トーク・オン・ディマンド 第399回

ゲスト:神門善久(ごうど)氏(明治学院大学教授)聞き手:武田、宮台

 

【農家の定義・概念】

60年と今で、センサスの定義が変わっている。

今時、生産だけやってる農家はイノヴェーティブではない。流通・加工も自分でして6次産業化しているのは30万戸くらい。

自身で野菜も作り、出荷組合の役員報酬も得ている場合、兼業農家になってしまう。統計数値だけ見ると、誤解が生じる。

イノベーティブな農家らしい農家の声は、農協や農水省に反映しにくい。

 

【専業/兼業から主業/副業へ】

子供が独立して、もう年金もらっている老夫婦が自給的に細々と耕作している農家も、統計上「専業」になっている。

地権者=農地は持っているが農業やっていない農家(土地持ち非農家)が、120万戸。親は農家していたが、子供は都会に出て働いていて、相続しているだけ。平場の優良農地で、相続した土地持ち非農家の「耕作放棄地」が増えている

 

【稲作】

野菜・畜産はマーケットメカニズムが働き、8割が主業農家による生産。米は主業農家が3割しかない。水田はマーケットメカニズムが働かず、錬金術(公共事業の転用収入を期待)の対象。 水田農家は、農業よりも錬金術にインセンティブが働いてしまう。

稲作中心の主業農家は7万戸しかなく、稲作は殆どが片手間農家。

農水省からすれば、米作ってもらうのは米価維持の上では有難いような悲しいような。

農水省経済産業省の5倍の人員を抱えていて、農林予算(農水省の人件費)を維持するために、片手間の稲作農家は集票田。米価を維持するために、作りすぎては困る。

 

【国土保全】

農業を考えるとき、食糧問題と国土問題は分けるべき。 

分けずに考えるから、国土保全のために米価を守らなければいけない、と短絡してしまう。

 国土的には、アジアや日本では、農業適地(肥沃な平地)ほど転用需要が高い。これを自由放任すると、都市計画が出鱈目なので、あっという間にパチンコ、ガソリンスタンドになる。農水省のやっている圃場整備や農道を付ける事業は、転用動機を高める。 

アメリカやフランスでは、農業しないことが環境保全になるが、日本では、農業やることが環境保全になる。(jizaki:どういう意味で?)

山間地の耕作放棄地は、戦後の食糧不足で無理やり切り開いたところもあるので、山に帰した方がいい。 

  

【農村】

 90年代から、集落機能が崩壊している。それまでは用水路の整備など、都会に出た子供呼び戻してやってたが、よそよしくなって、土地の違反転用などめちゃくちゃ。

日本社会は、中国人やユダヤ人のような血縁ネットワーク社会ではなく、ロイヤリティー(忠誠心)は土地に結びつく。近さ=近接性の社会、後期の柳田國男の考え方。

神門の唱える土地転用権の入札構想は、良い土地利用のインセンティブになるのでは。入札のお金は国庫に行く。転用面積の割合を決めると、地域で議論が発生して、参加型民主主義が発生するのではないか。

農村に外国人が増えるのが速いので、人々が適応できなくて排外主義に振れるリスクもある。国際化の最先端でもある。

日本の猿真似民主主義は、私権だけ主張して、公共性への参加が出来てなくて、土地利用が出鱈目になっている。

 

【3つの罠】

読者受けするストーリーで、事実に反する。

① 規制緩和によって農水省、JAをやっつければ打開できる。

② 農業には、世知辛い現代社会が忘れた三サンクチュアリがあってがあって、それに目覚めた人びとの意識を活かしていかなければ。グリーンツーリズムや地産地消

③ 食糧危機が来るかもしれない。自給率上げましょう。

 

【事実】

① 農水省・JAは規制緩和に反対などしていない。農地の転用など、違法・脱法やり放題。規制は実際骨抜きになっている。2006年通達、「農地法違反の闇小作は取り締まらなくてよろしい」=無責任な、立ち去り型行政。

② 農業に対するノスタルジーは進歩するどころか、後退している。60年代に「汚染食料」や牛乳の水増し問題が起きた時には生協の班活動が盛んだった。今では、消費者はmonster patientと化している。してもらうのを待っている。班活動なんてまっぴらごめん。

90年代半ばまでは、「安っぽいノスタルジーでは農業はできない」という辛口の記事がパラパラ出てきていた。人付き合いが苦手な人や、自然環境の影響を強く受けるので、技術習得に時間かかる。

③ 穀物価格は一貫して下がっている。最近の穀物高騰は先進国発。生産過剰でダンピングを行って、途上国の農業が壊滅的に。バイオエネルギーは、補助金を急につけすぎた。

 

【EUの第3の道】

・内需で回る経済を保全するために農業を維持する。関税ではなく所得支持。先進国の標準。

・環境保全に資する農業を維持する。

・安全保障security pact。経済より政治が効く。基幹的な食料で経済制裁が起こりうる。エネルギーや食料、レアメタルが政治的な戦略物資になる。

 

【食の不安】

食糧自給率が下がったのは、肉食が進んだから、資料を安い外国産に頼っている。

食糧自給率という言葉は意味がない。南の国を考えない内向きの議論。先進国がgated community。モノカルチャーの途上国にダメージ。

世界全体で食糧不足がある、という話ではなく、国別の偏在があると、経済制裁が効く。

食の不安によって、スタイルリーダー向けの食の付加価値が高まる。