VideoNews「日本人にはまだ憲法は書けない」小室直樹×宮台×神保(視聴メモ)
【動画概要】
1. 近代社会にとって憲法とは何か
2. 昨今の改憲論議について
3. 近代日本にとって憲法とは何か
ルソーの「一般意思」 ・・・憲法制定権力。日本人には、歴史的経緯からして、「一般意思」の一形態である「憲法意思」はない。困ったな、という内容。
【視聴動画】
マル激トーク・オン・ディマンド 第212回(2005年04月24日)
憲法シリーズ第2回「日本人にはまだ憲法は書けない」
『痛快!憲法学』小室直樹著、マンガの挿絵が多く読みやすいが、本格的な良い本。
【アメリカ憲法の不思議】
独立戦争を起こした時、イギリスの税金に対して「憲法違反だ」と言ったが、イギリスにも当時のアメリカにも憲法constitutionは無かった。
出来たアメリカ憲法は、人権条項がなかったし、女性には参政権がなかった。インディアンはいくら殺してもいい状態だった。
【憲法の系譜】
歴史的には、国王の横暴な課税権や開戦権に対して貴族がタガを嵌めようとしたのが、憲法の生い立ち。まだ「国民」も「国軍」も存在しない時代。
始まりの憲法は、決して、「平等な市民」が統治権力(政府・行政)に対してタガを嵌めようとして結んだ「社会契約」ではない。
ヨーロッパでは、世俗権力(国王)や宗教的権力(教会)の圧政や猛威に苦しめられてきて、それら「大いなるもの」を制限するための方法として、「憲法」が出来てきた。
小室:日本人が憲法を書けるようになるためには、偉い宗教家が出てこないといけない。しかし、日本では仏教にせよ、殆ど宗教ではない。
国家主権があまりにも強くなった絶対王政の時代を経験しているかどうか。幸か不幸か?
【 憲法と法律】
憲法は法律の「親玉」、という一般的な受け止め方でいいのか。あながち間違いではない。法律は憲法の範囲内で効力を持つから。
憲法は国家を縛り、法律は個人を縛る。個人は法律違反はできるが、憲法違反は出来ない。憲法違反が出来るのは、国家や法律。
日本人が外国軍の兵士となって戦争に行っても、憲法9条の違反にはならない。
誰かが「表現の自由」によって何かを言って、それを誰かが止めさせた場合、止めさせた人が政府の役人で政府の意図に沿って辞めさせたのでなければ、それは憲法違反ではない。刑法違反かどうかが問われる。
【民主主義は脆い】
「民衆の熱狂」が統治権力を動かすことがないように、「中間勢力」が必要だ(by貴族出身のモンテスキュー)。
歴史的には、直接民主主義が衆愚政治に流れることに危惧する勢力が、保守主義の源流。ある種の貴族主義。
アメリカの大統領選が、大統領に直接選挙するのではなく、「選挙人」を選挙するのはなぜか、下層民の熱狂を緩和するため。過去に、総得票数では下回る候補が大統領になったこともあった。
【一般意思】
一般意思やその表れの一形態である憲法意思がどのようなものであるのか、事前にはわからない。歴史が動いて、事後的に確認されるもの。
日本国民には「一般意思」の特殊形態である「憲法意思」は存在しないのではないか。憲法改正されてきていないことが、その表れ。
【未整理】
憲法を変えたところで、統治権力や国民が賢明になるわけではない。
憲法違反があったら、直ちに国民運動が盛り上がるようでないと。どんな憲法であっても国民が馬鹿であれば意味がない。英国では、憲法がなくても回っている。
今、9条はかなり空文化している。
しかし、9条のお蔭で、アメリカは日本を核の傘で守ってくれるし、日本軍が直接、他国の軍と衝突することは無い。
冷静終結で、日米安保は流動化している。
1928年のパリ条約で戦争しない、となって、大論争になった。侵略戦争だけでなく防衛戦争もいけないのか、と。で、武力は持っていい、ということになった。
北朝鮮の脅威から守ってもらってるから、不義の戦争であるイラク戦争を助けていいのか。あれで日本の評判は落ちた。
常任理事国入りは有り得ない。敵国条項があって、それは日独伊を攻めるためのもの。
ヨーロッパでは、憲法を作るまでは殺し合い、作ってからは話し合い。日本では、作るときも話し合いだった。
おしまい