VideoNews「ライブドア事件にみる検察資本主義の到来」村山×宮台×神保(視聴メモ)
【視聴動画】
マル激トーク・オン・ディマンド 第311回(2007年03月16日)
「ライブドア事件にみる検察資本主義の到来」
ゲスト:村山治氏(朝日新聞編集委員)
『特捜検察vs金融権力』の著者。バブル崩壊後、大蔵省の護送船団(日銀はじめ各銀行)の力が落ちて、検察庁の力が上がっている。
【大蔵省】
従来の検察は、政治家、大企業、脱税を追及してきた。
89年のバブル崩壊後、大蔵省の抱える問題が認識されるようになり、95年頃に転換。村社会のやり方の負の面が噴出、検察は「流動化する社会の絵(デザイン)を描けない大蔵がなんで威張ってんだ」、と。
【権力の中枢のシフト】
今の松尾検察になって、市場経済におけるルール違反に対して、厳罰化の流れにある。市場経済をしっかりしないと、この国はダメになる、という発想。監督官庁が「事前調整」から「事後チェック」へ。
【金融市場の開放】
金融に外資が入れば、大蔵省の言うことを聞かない。悪行を働く。大蔵省による事前調整が効かない。
【汚職】
権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する。
大蔵汚職。98年。戦後、ずっと同じビジネスモデルでやってきたから。
検察裏金。02年。情報屋に渡す調査活動費は領収書がいらないのだが、それをいいことに、自分たちの飲み食いに使っていた。
【ライブドア事件】
大蔵と検察の蜜月が終わって、検察の「事後チェック」の強化が完成した。時間外取引の違反については、法形成が遅れていて、成立後に挙げられた。
【古いアメリカ式】
社会の絵をかくのは、行政にはいらない。それは民間の市場のプレイヤーだ。その活動の結果、自生的な社会の秩序が出来上がる。だから市場でプレイヤーが公正に動けるように、ルールをチェックするのが検察庁。
しかし、アメリカのこのやり方は1930年代の大恐慌を乗り越えるために作られたもので、アメリカでも制度疲労していて、盗聴やおとり捜査など、あらゆる権限を与えないと検挙できない。それでいいのか。ヨーロッパ式の方がいい、という議論も。
大店法でアメリカに無批判に追従した結果、地方都市のコミュニティーは崩壊した。
【社会思想】
宗教的良心への信頼に基づくアメリカ流のルールと契約、監視行政か、階級的連帯と地域的連帯に基づくヨーロッパ流の社会か。
ホリエモンの実刑を「可哀想」と思う反応は、アメリカ式に耐えられないだろう。
【戦前戦後】
戦前に強かった検察が、戦後もかろうじて残したのが、特捜。
戦前の公安検察と、経済検察。公安検察にはエリートが集まって、特高警察と組んで戦争遂行に邁進していた。戦後になって、アメリカは公安検察の持っている強い権力を警戒して解体、検察全体の権力が落ちて、警察の力が強くなった。その時に、戦後の闇市の隠匿物資の捜査に、経済検察が活躍。
検察が挙げる基準が分からない。
筋の良い情報が、なかなか無いから。いい情報が入ると、前のめりになる。選択するほどの余裕はない。仕事のネタがないと、存在意義を問われかねない。